研究課題/領域番号 |
22K12965
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石田 隆太 同志社大学, 文学部, 助教 (10814585)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ペルソナ / 三位一体 / 霊的質料 / 自然学 / 形而上学 / 天使 / 種(しゅ) / 貪欲 / 金銭 / 質料形相論 / 物質主義 / 個体化の原理 |
研究開始時の研究の概要 |
中世ヨーロッパのスコラ哲学において、人間の個体性を担う重要な要素を質料にもとめる考えにはどのような哲学的・倫理学的な意義があるのか。こうした問題意識の下に本研究は、西洋中世哲学において受容された質料形相論のなかに見られる物質主義の思想を哲学・倫理学の観点から体系的に再構築することを目的とする。この目的のために、アリストテレス的な質料形相論とその発展形である普遍質料形相論の両方を中世的な「マテリアリズム」という一つの構想の下で再構成する。このことにより、中世的な「マテリアリズム」を俯瞰できる総合的な図式の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
1、13世紀後半の物質主義を理論的に整備するための作業として、(1)トマス・アクィナスというスコラ学者に注目して、彼による質料の一義性モデルを再構成し、これから論文としてまとめる作業に移る段階である。具体的には、彼の初期著作『自然の諸原理について』ですでに見られる可能態における有としての質料という理解を出発点にして、質料をもつとされるものすべてに共通に見出される質料理解を明らかにしていく。(2)トマスの自然種に関する理論を再構築することで西洋中世哲学における自然哲学の領域について一定の見通しを立て、その成果を論文として公刊した。彼の自然種に関する理論は、単に生物種のみならず天使といった非物体的な実体をも射程とすることを改めて示した。言いかえるなら、彼の考える自然種の範囲がより広いということを意味するかもしれない。最後に、(3)近世のスコラ学者フランシスコ・スアレスから論を始めて、トマスの三位一体論における個体の問題を分析した成果も論文として公刊した。三位一体論は直接的には物質主義と無縁にも見えるが、個体とは何かという問題を考えるうえで密接な連関があり、その一端を明らかにした。 2、翻訳研究としては、(1)ドゥンス・スコトゥス著『レクトゥーラ』第2巻第3区分第1部第6問題、(2)トマス・アクィナス著『定期討論集 悪について』第16問第2項~第4項の翻訳研究を進め、(2)はすでに公刊済である。これらはいずれも本邦初訳である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画においては、上記「研究実績の概要」の1の(1)に相当する内容の実施を予定していた。このことに関して一定の成果をあげることができたので、全体として研究の進捗状況がおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画の通りに進めていく。すなわち、これまでボナヴェントゥラとトマスにおいて分析した理論モデルを彼らよりも後代の哲学者によるモデルと突き合わせる作業を本格的に行っていく。
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