研究課題/領域番号 |
22K12976
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 京都大学 (2023) 龍谷大学 (2022) |
研究代表者 |
打本 和音 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (30812309)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 弥勒信仰 / 上生信仰 / 兜率天 / 浄土 / ガンダーラ / 六欲天 |
研究開始時の研究の概要 |
アジア各地で認知されつつも批判的検証のすくない兜率天の初期形態と、その後の受容の展開を明らかにするために、従来看過されてきた兜率天をめぐる多様な理解や、教義と実践活動との距離に着眼し、研究を遂行する。兜率天観の形成に多大な影響を与えてきた『観弥勒菩薩上生兜率天経』を起点としつつも、本経とは一見異なる理解を見せる文字資料・考古美術資料を整理・分析して系統だてるとともに、兜率天を受容した各地域の時代的・社会的背景に配慮しつつ検証することで、兜率天が果たしてきた役割の再評価を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究は、アジア各地で認知されつつも批判的検証のすくない「兜率天」の初期形態と、その受容の歴史的展開を明らかにするために、従来看過されてきた兜率天をめぐる多様な言説や、教義と実践活動との距離に着眼し、研究を遂行するものである。 2年目にあたる2023年度は、昨年度に引き続き、各種文献資料(経典資料、碑文資料、地理書など)にみられる六欲天を含む天界についての初期的な記述の収集と分析作業、ならびに、天界をめぐる先行研究の整理を行った。古代インドにおける天界受容の様相は複雑かつ重層的なものであるため、これまでに多分野から様々な角度での研究が長らく行われてきている。その結果、明らかになった点も多い一方で、より状況が複雑化してしまっている点も指摘される。本年度は、そうした先行研究の現状を踏まえて、先行研究の到達点と限界点について、主たるトピックごとに整理した。また、かかる先行研究のなかで従来指摘されてきたものも含め、一次資料の再整理作業を批判的視点から進めた。なお本年度は、初年度の整理作業を踏まえた中間報告を公開するとともに、一般向けの文章の執筆や講演を行うことで社会還元にも努めた。 また、天を含む様々な異界に関して、各地域や時代に共有されていた知識・記憶の整理を行うことを目的に、碑文資料の収集・読解ならびにデータ化を進めた。こうした整理の成果は、改めて論文の形で公表予定である。 ただし、本年度に予定していたパキスタンでの実地調査は、政情不安等により実施することができなかった。その代わりに、国内や韓国にて展示・収蔵される関連資料の実見調査を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延にともなう様々な重点措置が社会的にはおおむね解除され、海外調査自体は安定して行えるようになったものの、コロナ禍の影響による様々なルール変更の継続や政情不安などにより、予定していた実地調査に支障が出ていたため。 当初予定していた、遺跡や美術館・博物館での調査は来年度以降に行うこととして研究計画の再調整を行い、引き続き、公刊図録等からの図像資料の収集と整理を優先的に行った。また、天を含む様々な異界に関して、各地域や時代に共有されていた知識・記憶の整理を行うことを目的に、碑文資料の収集・読解ならびにデータ化を進めた。さらに、天界にまつわる伝承の残る地域についても調査対象に加えることとし、基礎資料の収集・整理を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、南アジアを中心とした地域における天界理解に関する文献資料の読解・調査を継続する。また、次年度以降の所属部局における研究会や、所属学会において他の研究者との議論や情報収集に努めたい。 なお、次年度はインドやパキスタンの遺跡ならびに博物館での調査を実施予定であり、現地協力者との調整を進めている。
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