研究課題/領域番号 |
22K12979
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 一般財団法人人文情報学研究所 |
研究代表者 |
青野 道彦 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典テクスト研究部門, 研究員 (10773567)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 上座部仏教 / サマンタパーサーディカー / ヴィナヤピタカ / デジタルテクスト / ヴィナヤ・ピタカ / デジタルテキスト / メタデータ |
研究開始時の研究の概要 |
現在、上座部仏教文献に関するデジタル資料が数多く公開されているが、その多くは必ずしも研究に資するものとなっていない。この背景には研究者がデジタル化に深く関与してこなかったことがある。結果、多くのデジタル資料は補助的にしか用いることのできない水準にとどまっている。しかし、他分野においては、研究者の積極的関与により学術利用に資するデジタル資料が数々生まれており、上座部仏教文献のデジタル化においても研究者が主体的な役割を果たすならば、デジタル知識基盤の構築が可能となろう。その実現を目指し、本研究は『サマンタパーサーディカー』を取り上げ、上座部仏教文献研究のデジタルシフトのあるべき姿について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、上座部仏教に伝承される戒律文献『ヴィナヤピタカ』の注釈書『サマンタパーサーディカー』をサンプルとして取り上げ、上座部仏教文献のデジタルシフトのあるべき姿について研究することを目的としているが、その研究の第一段階として、注釈文献を原典との関係を考慮しつつText Encoding Initiativeガイドラインに準拠してコード化する方法について検討を行った。その検討結果については、2022年7月25日~29日に都市センターホテルで開催された国際学会Digital Humanities 2022 Responding To Asian Diversityにて、“Visualization of annotation system of the Theravada Buddhist literature”というタイトルでポスター発表を行った。そして、このコード化の手法を用いて、『サマンタパーサーディカー』についてPTS版、ビルマ版、タイ版、シンハラ版を校合したテクストを部分的に作成することを試み、そのテクストに基づき出家者の居住環境に関する戒律について実際に検討を行った。これにより、校合テクストの作成には多くの労力がかかるものの、テクストを綿密かつ効率的に分析する上できわめて有効な手段であることを確認した。この出家者の居住環境に関する戒律の検討結果については、国際学会19th International Association of Buddhist Studies Conferenceおよび日本印度学仏教学会第73回学術大会で部分的に発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では令和4年度より『サマンタパーサーディカー』のシンハラ版(Simon Hewavitarne Bequest版)の入力作業とローマ字版(Pali Text Society版)の誤入力の確認作業を本格的に実施する予定であったが、当初依頼していた作業者が作業実施困難となり、予定通りに入力・確認作業を進めることが難しくなった。そのため、研究代表者自身で入力・確認作業を進めるとともに、残りの研究実施期間で確実に進めるための準備作業を行った。具体的には、上座部仏教の注釈文献をText Encoding Initiativeガイドラインに準拠して効果的にコード化するための方法について検討を行うとともに、上座部仏教文献および人文情報学関連の書籍を収集し、上座部戒律文献に関連する二次資料のメタデータを作成するための方法について検討をおこなった。また、部分的に作成したPTS版、ビルマ版、タイ版、シンハラ版の校合テクストを実際に用いて、出家者の居住環境に関する戒律の研究を行った。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度以降、『サマンタパーサーディカー』のシンハラ版(Simon Hewavitarne Bequest版)の入力作業およびローマ字版(Pali Text Society版)の誤入力の確認作業を本格的に進めることが必要となるが、現在、そのために作業者の確保を進めている。具体的には、シンハラ版の入力作業については、スリランカ人の留学生を改めて探している最中であり、ローマ字版の確認作業については入力業者に発注することを検討している。
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