研究課題/領域番号 |
22K12985
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
嵩 宣也 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30921762)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 翻訳 / 日本仏教の国際化 / 仏教モダニズム / 近代仏教 / 英文仏書 / 英訳史 / 英文雑誌 / 英文テキスト / 宗教学 / オリエンタリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近代日本仏教にかんする英文テキストの整備を行いつつも、その全体像の素描を目指す。これまでの研究では、シカゴ万国宗教会議に関する英文テキストへの注目、あるいは鈴木大拙の英文テキストに注目する研究は進められてきたが、それ以外の英文テキストに関しては注目されてこなかった。当然のことながら、時代の要請に応答する形で英文テキストも誕生するはずであり、そこには時代ごとの特徴が存在すると考えられる。本研究では、これらの近代日本仏教にかかわる英文テキストを蒐集、整理、分析することで、今後の研究を進めるために必要な近代日本仏教にかんする英文テキストの通史の構築を目指したい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、英文仏書を翻訳による共同作業の「場」と想定し、①学会発表、②翻訳の実践、③翻訳の研究という3つの観点から研究を進めた。 ①については、Translating Modern Buddhism: Reception and Transmission through“Prayer”(The Asian Studies Conference Japan Panel: Translating Religion, the Nation, and Emotions in Modern Japan)と題して、2023年度、上智大学の日本アジア学会にて発表を行った。 ②に関しては、2つの実際の翻訳業務に従事した。第1に、翻訳:デビッド松本「真宗学のゆくえ-その将来の可能性を展望する」である。この翻訳では、真宗学という学問体系のあり方をグローバルな文脈で問う必要性が訴えかけられている。翻訳の実践を通して、浄土教に関する翻訳すべき訳語とそのまま音写すべき訳語の選択など、著者と話し合いながら翻訳を進めた。なお、この成果は『真宗学』149号・150号 2024年3月 に掲載されている。もう1つの翻訳の実践としては、翻訳:パリデ・ストルティーニ「旅行記からテレビまで―近代仏教とシルクロードの想像―」である。本論では、薬師寺やシルクロードの現代的なイメージが東西の思想交流によってもたらされた内容であったことが明らかにされる。訳者との議論を通じて、どれほど数多くの思想が、東西の共同作業によって誕生しているのかを改めて学ぶことができた。この成果は 『読んで観て聴く 近代日本の仏教文化』法藏館 2024年3月に掲載されている。 ③に関しては、「日本仏教の西洋世界への発信:仏耶一元論と真宗セオロジー」と題する論文を投稿した。本稿は、2024年の後期に出版予定の編著に掲載予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、学会発表、論文翻訳、論文投稿を計画通りに進めることができた。また、翻訳の研究と実践を通じて、英文仏書は共通言語である英語を通して、アジアとヨーロッパの思想が重なる「場」であり、新たな仏教概念が生み出される翻訳の「場」でもある点を再認識することができた。さらに、近代仏教史学会への出席やシンポジウムへの参加を通して、関連分野の研究者との意見交換・情報収集を行うことができた。そのため、今年度の研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでの研究成果を総括するために、仏教モダニズムのなかの英文仏書という観点から分析を進める。とくに、これまでの研究によって明らかになった仏教概念、たとえば、「真如」「阿弥陀仏」「大乗仏教」という概念が、どのようにトランスナショナルに生成、展開したのかに注目する。ここで得られた成果を2024年度9月に龍谷大学で開催する国際真宗学会(International Association of Shin Buddhist Studies)にて発表予定である。
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