研究課題/領域番号 |
22K12986
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
大澤 香 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (10755424)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 異民族 / 創造 / 自然 / 隣人愛 / 法 / 異邦人 / パウロ / 律法 / 自然法 / 原始キリスト教 / 第二神殿時代ユダヤ教 |
研究開始時の研究の概要 |
キリスト教が第二神殿時代以降のユダヤ教から分離する形で成立した際の分岐点として、民族宗教であるユダヤ教にとっての「他者(=異邦人)」をキリスト教が受容したという、従来の二項対立的見取り図では捉えきれない概念的転換の様を明らかにする。「他者」を既存・自明の概念とするのではなく、キリスト教が受容した「他者(=異邦人)」の実態についてより詳細に分析し、他者概念の成立そのものを、集団・共同体の置かれた社会的・歴史的状況との関連から分析する。
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研究実績の概要 |
キリスト教形成時期の「他者/異邦人」概念の実態を明らかにすることを目的とする本研究の2年目である2023年度は、ヘブライ語聖書および第二神殿時代ユダヤ教文書の中に見られる自然界と人間との対比的描写に注目し、その対比的二者のどちらに自分達を位置付けているかという点で対照的な二つのテキストを比較した。一つはヘブライ語聖書中のエズラ記であり、もう一つはヨナ書である。その描写方法の分析から、ヨナ書が、ユダヤ人の排他的民族主義への批判と、異邦人にも及ぶ神の普遍的救いを述べているという特徴も確認することができた。さらにその分析結果を用いながら、エコロジカル聖書解釈の視点によってヨナ書を解釈することを試みた。自分と他者とを境界づけ、脱落者を排除するための「法」ではなく、「すべてのものが安寧に生きるために必要な秩序」としての「法」理解は、律法全体が隣人愛の掟において全うされると語るパウロの法理解とも方向性を同じくするものであることを確認した。また他者のために仕える神の姿が、ユダヤ思想の中にも、また新約聖書に記されたキリストの自己無化の姿の中にもあることを指摘した。これらの研究成果を国際会議において口頭発表し、論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第二神殿時代ユダヤ教における他者/異民族への視点を、自然と人間の対比的描写に注目して分析・考察した。その描写方法の違いに、各文書を記した人々の立場の違いやテキストの方向性が表れていることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
パウロ以降のキリスト教における他者概念の詳細についての考察を進める。原始キリスト教のアイデンティティ形成において、パウロの他者概念がいかなる影響を与えたのかについて、新約聖書の成立背景と共に分析する。
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