研究課題/領域番号 |
22K12989
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (90782566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 精神分析 / 精神分析史 / 思想史 / フロイト / 精神医学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、近年、欧米を中心に確固たるものとして成立した「精神分析史(History of Psychoanalysis)」という学術分野を日本に紹介・導入し、その上で、研究代表者がこれまで行ってきた研究を土台として、「精神分析」を可能にしたエピステーメーの成立と衰退を思想史的な観点から明らかにすることを通じて、「精神分析史」研究に対して高い水準での寄与を行うことを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、これまで日本において不十分にしかなされてこなかった「精神分析史」という学術分野を本格的に紹介・導入し、その上で、研究代表者がこれまで行ってきた研究を土台として、「精神分析」を可能にしたエピステーメーの成立と衰退を思想史的な観点から明らかにすることを通じて、「精神分析史」研究に対して寄与を行うことを目的とする。 本研究課題の二年度目にあたる今年度は、ひきつづき精神分析史研究に取り組んだ。今年度の中心的な関心は、精神分析における基本的概念(中立性、セクシュアリティ)と、精神分析と精神医学のあいだでなされてきた仕事と運動の歴史(連合弛緩、精神医療改革運動)である。主な研究実績として、以下の4点が挙げられる。 (1) 日本の精神病理学および精神分析の第二世代の歴史を、精神医療改革運動との関係から検証した。(2)フロイトの中心概念である「中立性」の成立過程と、その後の変容を跡付けた一連の論考と講演を行った。(3) 1905年のフロイトの古典的著作『性理論三篇』の初版を出版するための作業(今後刊行予定)と、その紹介を行った。(4) 初期精神分析の思想的環境のなかで形成されたブロイラーの「連合弛緩」概念の帰趨について検討した。 以上の実績から、本研究は精神分析の理論と臨床を歴史的観点から扱い、その現代的意義を多面的に明らかにしつつあると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、精神分析の理論的展開と、その臨床実践への影響の両面から検討を行っており、フロイトらの古典的著作から、日本の精神医療改革運動に至るまで、広範な歴史的視座から精神分析を位置づけている。また、フロイトに始まる正統的な精神分析のみならず、オイゲン・ブロイラーなどの精神分析と関連する他の理論的潮流にも目を向けてることによって、多様な思想史の潮流から精神分析を相対化し、その射程と限界を捉え返すことができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、国内外の研究機関・研究者との連携強化をすすめ、国内の精神分析研究者コミュニティとの連携を一層深めるとともに、欧米の主要な研究機関とも協力関係を構築することを検討している。精神分析は心理学、医学、哲学、文学など多岐にわたる領域と関係しているため、これらの領域の専門家を交えた学際的な研究会や共同研究を企画し、精神分析をより多面的に検討することが望ましく、現在企画を行っている。また、若手研究者を意欲的に参画させ、着実に次世代の精神分析研究者を育成していくことも重要な課題として検討している。
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