研究課題/領域番号 |
22K12996
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 亘 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (60931847)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 美学 / ランシエール / 大衆文化 / 落語 / お笑い / 自由間接話法 |
研究開始時の研究の概要 |
ランシエールの芸術思想は現代アートへの批評という時勢的側面ばかりが注目され、マイノリティの視点から西洋芸術史を捉え直すという彼の根本的問題意識は見過ごされてきた。本研究は彼の集大成的著作『アイステーシス』の読解を通じ、フェミニズムやポストコロニアル理論など異議申し立てをめぐる諸理論の垣根を越えたインターセクショナルな解放思想として、ランシエールの思想を提示する。それにより芸術史におけるマイノリティの問題を考察する新たな視座が提供される。本研究は日本という周縁的地域固有の文化研究にも応用可能であり、さらにこの研究の成果が国外に発信されれば、西洋中心的な現行の芸術史の捉え直しに大きく寄与しうる。
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研究実績の概要 |
2023年度は第一に、昨年度に継続して哲学的テクストにおける「自由間接話法」の使用について研究を行い、日本シェリング協会第32回学術大会シンポジウムにて発表を行った。この成果は論文として24年度中に公開予定である。また、ランシエールに加えドゥルーズやパゾリーニにおける自由間接話法を論じた昨年度の成果も論文化し、24年度中に公開予定である。 第二に、2021年度に提出した博士論文に本研究課題の成果を踏まえて加筆修正を行い、書籍として出版した(鈴木亘『声なきものの声を聴く──ランシエールと解放する美学』堀之内出版、2024年3月)。 第三に、関西マラルメ研究会20周年記念シンポジウムにて、『アイステ―シス』のステファヌ・マラルメ、ロイ・フラー論(第6章)を取り上げた発表を行った。 第四に、ランシエール『文学の政治』(森本淳生訳、水声社、2023年6月刊)合評会にて、上記自由間接話法の研究、マラルメ、フラー論の研究を盛り込んだ発表を行った。 第五に、本研究課題の骨子として、『アイステーシス』の読解・注釈作業を継続して行っている。具体的には前述のマラルメ、フラー論の箇所(第6章)に加え、全14章中、第3章まで作業を行っている。 第六に、昨年度からの継続として、ランシエールに限定されない観点から、周縁的文化事象と芸術との関係を巡っても研究を行った。具体的には、落語や漫才など日本の笑芸の古典化・芸術化・制度化の過程や、そこで批評が果たした役割について研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22年度の成果を論文化し、また著作に盛り込んで(24年度にまたがるが)刊行することができた。また、『アイステ―シス』の内容検討に具体的に着手し、2件の発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に口頭発表した成果についてはすみやかに論文化を行う(書籍化が計画されているものもある)。 『アイステ―シス』の読解は継続して進める。このペースで行えば、当初の予定通りに終えられる予定である。
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