研究課題/領域番号 |
22K13002
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
田中 里奈 京都産業大学, 文化学部, 助教 (50886934)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 現代演劇 / パフォーマンス / 演劇 / 制作 / 比較演劇 / トランスナショナル / 変異 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複数の国を跨いだ演劇制作やツアー・パフォーマンスにより、変異の連鎖が起こりつつある今日の演劇の現状に即し、流動的な作品を分析するための調査方法を確立し、新たな演劇理論を提示することを目的とする。新型コロナウイルス感染症流行下で実施された国際協働制作「テラジア|隔離の時代を旅する演劇」を事例とする。アジア各地のアーティストが共通の演劇作品を作り変えながら連続上演し、インターネット上で鑑賞する進行中のプロジェクトを参与観察し、アーティストの創作過程や社会的状況を踏まえて分析した成果を基とした理論構築を目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、国や地域の越境や、既存のジャンルを超えた横断的な協働によって、作品や上演形態が連鎖的に変異しつつある《流動的な演劇》の現状を実証的に調査し、その動態を分析するための調査方法と理論を提示することを目指している。 2022年度には、従来の相互不干渉的な分業方式とは異なった協働関係を把握すべく、2020年に立ち上がった国際共同制作「テラジア|隔離の時代を旅する演劇」を中心に、国内外の複数の現場関与者への聞き取りおよび上演資料の調査を行った。現時点では、創作活動の慣例や創作方法の可塑性を前提とした協働において演劇の流動性が生じることから、現場関与者間の紐帯とそれを条件づけている創作プロセスの権威的構造や法的・社会的・経済的条件の検討を行うべきだと考える。また、複数の地域または分野を横断する現代演劇の現場において、関与者同士の協働を促進する役割が重要であることから、「テラジア」だけでなく現代演劇の制作・批評・主催(現地受入や配給)関係者への聞き取りを行うとともに、舞台芸術における既存の分業体制に関する基礎研究を進めた。 また、現行の上演プロジェクトを調査するにあたって、研究者の現場への参与観察的調査方法を再検討することが必要だと判断し、参与観察や研究者の現場関与に関する先行研究の収集・調査を行い、次年度以降の理論構築に向けた準備を進めた。 研究課題に関連する主な業績として、「長期的な創作活動における芸術家と研究者との協働可能性」(坂田ゆかりとの共著、『arts+ 東京藝術大学社会連携センター紀要』第1巻、2023年3月31日)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の流行継続に伴い、国外での調査や国内外の学会への参加などに一部制限が加わり、研究課題の遂行に困難が生じたが、オンラインでのコミュニケーション等の活用や、研究協力者の協力により、おおむね順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
現場関係者への聞き取り調査、および調査方法と分析理論構築に向けた基礎研究を進めていく。研究対象事例の現代演劇界における位置づけを重点的に検討するべく、国内外における連鎖的変異を伴う演劇の事例を、現場関係者への聞き取りや過去の報告書等の調査によって進める。また、調査方法と理論構築に関して、国内外の実践家や研究者などと情報交換を積極的に行うことを予定している。
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