研究課題/領域番号 |
22K13008
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
粂 和沙 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (20634900)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ジャポニスム / 来日外国人画家 / 絵画市場 / 美術市場 / 画廊 / 展覧会事業 / 訪日画家 / 風景画 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半に多くの英国人画家が、ジャポニスム(西欧における日本美術の流行)を背景に、作品制作のため明治期の日本を訪れている。なかには個人的な関心からではなく、ロンドンの大手画廊から日本へ「派遣された」事例も目立つ。本研究の目的は、こうした19世紀末の英国における美術市場と展覧会事業の動向を踏まえ、訪日画家の日本における制作と帰国後の活動について考察することにある。これにより、19世紀末の英国の画壇において、訪日画家の作品や活動がどのような役割を果たしたのか、彼らの日本訪問の意味を社会・経済的な観点から問い、ジャポニスムの研究史に位置づけることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本研究課題の遂行2年目にして初めて英国でのアーカイヴ調査を8月と3月の二度にわたって実施することができた。まず8月に実施した調査では、ロンドンのナショナル・アート・ライブラリー、大英図書館において、事前にリストアップした数名の画家に絞り、日本国内では入手が困難であった訪日画家たちが帰国後に実施した作品展のカタログや、取引のあった画廊に関する資料、彼らが日本で収集した日本美術コレクションの売り立てカタログ等の収集を行なった。さらに、ヴィクトリア&アルバート博物館等に収蔵されている訪日英国人画家による日本を主題とした作品についても、調査する機会を得た。帰国後に、これらの資料の整理および展覧会に出品された作品の同定作業を進め、これを踏まえて2024年3月に再びロンドンのナショナル・アート・ライブラリーにおいて、当時の美術批評の収集を重点的に行なった。近年、19世紀末に刊行された著名な美術雑誌については、オンライン上での公開が進みつつあるものの、小規模な画廊の展覧会に関する情報も掲載しているYear’s Artなど未公開のものも少なくないため、批評記事の収集はこうした美術雑誌を中心に行なった。今回は円安の影響などもあり、いずれの調査も長期間にわたって滞在し調査することは叶わなかったが、それでも二度現地調査を実施し、基礎資料を入手し、作品を実見する機会が得られたことは大変有意義であった。2023年度内の刊行には話に合わなかったが、今年度の調査研究の成果は「十九世紀末ロンドンの絵画市場と日本趣味ーフランク・ディロン、モーティマー・メンペス、アルフレッド・イーストを中心に」として論文にまとめた。本論文は、2024年度末に刊行予定の共著『天野知香先生退官記念論文集』に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、前年度に実践女子大学の校務及び海外渡航制限のために実現できなかった英国でのアーカイヴ調査、および、作品調査を二度にわたって実施することができた。とくにロンドンのナショナル・アート・ライブラリー、大英図書館で収集した、画家が帰国後に行なった展覧会のカタログや、彼らの作品展を企画した画廊に関する記録は、本研究課題の遂行に欠くことのできない資料であり、これらを調査できた意義は大きい。基礎資料を入手できたことにより、刊行自体は次年度以降となるものの、これらの調査研究の成果を論文としてまとめることもできた。したがって、本研究課題は概ね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
日本滞在を終えて英国へ帰国した画家の多くは、帰国後にロンドンで個展を開催する機会を得ている。三年目となる2024年度は、訪日画家の作品展について検証すべく、前年度に引き続きヴィクトリア&アルバート博物館、ナショナル・アート・ライブラリー、テート・アーカイヴ、大英図書館等で、展覧会図録および美術雑誌や新聞に掲載された美術批評の収集を行なう。その際、①展覧会の開催経緯、②展覧会カタログの分析(出品作品のリストアップを含む)、③出品作品の同定、④展覧会についての批評記事の収集、⑤可能な場合には作品購入者の特定という調査項目ごとに考察する。さらに、日本を訪れた画家の中には作品展の開催だけでなく、日本での見聞をまとめた著書を出版するなどして、現地の日本美術愛好家から一目置かれた者も多いため、こうした帰国後の活動が作品評価にもたらした影響についても検証する。なお、訪日した画家のなかには少数ながら女性画家も含まれている。男性画家とは異なる立場や制作環境にあった彼女たちの活動については、ジェンダー研究史を踏まえた調査を行ない、独立したかたちで研究報告を行なう計画である。
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