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好ましい鑑賞環境を実現するための美術館照明に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13009
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分01060:美術史関連
研究機関滋賀県立大学 (2023)
東京理科大学 (2022)

研究代表者

大江 由起  滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (60876085)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワード美術館 / 照明 / 反射グレア / 高齢者
研究開始時の研究の概要

本研究は、美術館において反射グレアが発生するメカニズム及び照明環境を明らかにし、反射グレアの予測式を構築することを目的とする。
まず、保護ケースの光学特性を捉え、反射グレア発生の程度について保護ケースによる違いを確認し、全般照明とスポット照明のバランス等が反射グレアに与える影響を若齢者を対象に把握する。また、絵画の配色による反射グレアが及ぼす影響の違いも明らかにする。そして、高齢者対象実験を行い、年齢層による絵画の見え方の違い及び反射グレアの発生状況を比較し、反射グレアの生じない照明条件を把握する。最終的に、年齢層に応じた反射グレアに関する予測式を構築し、今後の美術館展示に役立てる。

研究実績の概要

本研究は、絵画面の輝度分布および絵画表面の反射特性に着目し、これらの物理量から反射グレアの影響を予測する手法を構築することで将来の美術館照明環境に役立てることを目指している。まず、絵画サンプルおよび展示ケースとして用いられるアクリル板の反射指向特性を、偏光を用いた表皮反射・層内反射分離変角測光法によって測定し、測定結果に基づいて鑑賞対象の表面に生じる反射光が鑑賞の妨げとなる見えの状態を4つに大別し(鑑賞対象は絵画,グレージングや展示ケースがある場合はそれらも含む)。4分類のうち、そのうち「正反射光が強くなり、鑑賞対象に特に高輝度な領域が生じた場合に起こるグレア(拡散性の高い絵画面に生じるグレア)」について取り上げて検討を行った。
油彩画に塗布されるニスの量が増えると表面がより平滑になり、正反射方向に反射する反射光が増えるため、同じ照明条件下でも高輝度になると考えられる。また、絵画表面の反射指向性が強いほど高輝度領域となる反射角度の範囲は狭くなるため、絵画面の高輝度領域も小さくなると推察される。したがって、絵画面の反射指向性が高くなるほど狭い範囲で高輝度になり、その領域をグレア源としてとらえることができれば、絵画面の輝度対比からグレアを予測することができると仮説を立てた。そして、2022年度に取得した実験室実験のデータを用いて、グレア評価の予測を試みたところ、絵画面の反射指向特性と反射率を変数とする適合度の高い予測式を構築することができた。
また、2023年度は国内外の美術館での照明環境調査を行い、国立西洋美術館においては実際に展示されている4枚の絵画について、絵画の輝度分布や評価データを取得することができた。研究成果の発表としては、2022年度の研究内容についてthe 30th Session of the CIEにて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

絵画サンプルの反射指向特性について、解析途中で測定データにエラーがあることが発覚したため、2023年12月に再測定を実施した。これにより、実験室実験及び実空間実験の解析が後ろ倒しとなってしまったが、正確な測定データに基づいて精度の高い反射グレアの予測式を構築することができた。ただし、これまでに実験した全照明条件および絵画サンプルのデータ解析を完了することはできなかったため、早急に解析を行い、予測式の更なる精度向上を目指す。実空間実験についてもデータ取得に留まってしまったため、それらの結果を用いて適用範囲を明らかにしていくことが必要である。

今後の研究の推進方策

2024年度は、実験室実験の解析および実空間実験データによる実験室実験の結果検証を行った上で、2023年度の研究成果について学会発表(照明学会)を行う予定である。また、被験者属性による絵画の見え方の違いや反射グレアの発生有無を把握するため、これまでに蓄積してきた若年者を対象とした実験ノウハウやデータに基づき、高齢者を対象とした被験者実験を実施する。若年者対象実験で得られた知見との比較を行うことで、年齢層に応じた反射グレアに関する予測式を提案し、両年齢層にとって反射グレアの生じない照明環境の構築の一助となることを目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] REFLECTED GLARE ON MUSEUM EXHIBITS WITH DISPLAY CASES: AN EXAMINATION OF A GLARE PREDICTION METHOD BASED ON LUMINANCE DISTRIBUTION2023

    • 著者名/発表者名
      Sagawa M.、Maeda A.、Takashima M.、Oe Y.、Yoshizawa N.、Mizokami Y.
    • 雑誌名

      PROCEEDINGS of the 30th Session of the CIE

      巻: 1-2 ページ: 1577-1586

    • DOI

      10.25039/x50.2023.po136

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] An examination of reflected glare prediction method based on luminance distribution2022

    • 著者名/発表者名
      M Sagawa, A Maeda, Y Mizokami, M Takashima, Y Oe and N Yoshizawa
    • 学会等名
      The 8th International Light Symposium
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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