研究課題/領域番号 |
22K13012
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館 |
研究代表者 |
山口 隆介 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 主任研究員 (10623556)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 古写真 / 絵はがき / 売立目録 / 仏像 / 奈良 |
研究開始時の研究の概要 |
明治時代初期から戦前にかけて、わが国では仏像彫刻を被写体とする写真が多数撮影され、またそうした写真を用いて製作された絵はがきや売立目録が広く巷間に流通した。それらは従来の仏像研究において、個別の作品研究で参考とされることはあっても資料そのものから被写体の情報を読み取り、造形的特色や保存状態、伝来などが議論されることはほとんどなかった。そこで本研究では古写真・絵はがき・売立目録を仏像研究に活用するための基礎作業として、およそ戦前に撮影された仏像彫刻を被写体とする写真をはじめ、仏像の写真を用いて製作された絵はがきや売立目録に関する情報を広く収集してデータベースを構築する。
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研究実績の概要 |
仏像の写真を用いて製作された絵はがきについては、先の大戦以前に鎌倉国宝館が発行した絵はがき数十枚を高精細デジタルカメラで複写し、データベースへの登録と印字された文字情報の翻刻をおこなった。また、東京の個人が蔵する、仏像や仮面を被写体とする古写真約800枚についても同様にデジタル化をおこない、資料の充実を図った。 このほか、古写真に写る奈良および周辺地域にゆかりの仏像7件について調査および写真撮影を実施し、あわせて伝来に関する資料調査をおこなった。このうち1件については学術雑誌に論文を投稿し、現在査読中である。 海外調査については、フランスのギメ東洋美術館において東大寺伝来伎楽面(迦楼羅2面、金剛、酔胡従、童子2面)、法隆寺伝来舞楽面(蝿払)、面種不明1面の調査と撮影を実施した。あわせて美術館への納入に関する資料や古写真を閲覧し、高精細デジタルカメラで複写した。また、大英博物館において東大寺伝来伎楽面(童子)等の調査と撮影を実施し、納入に関する資料や修理記録などを閲覧・複写した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未知の古写真・絵はがき・売立目録の把握は本研究の基礎をなす作業だが、今年度は東京の個人が蔵する写真資料の調査が実現したことで、奈良ゆかりの仏像の伝来や現所在地に関する情報を多く得ることができた。売立目録に関しては、既存の報告書(山口隆介「彫刻史研究と売立目録」『売立目録デジタルアーカイブの公開と今後の展望―売立目録の新たな活用を目指して―』東京文化財研究所、2021年)の増補改訂作業も進めることができ、全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もひきつづき未知の古写真・絵はがき・売立目録に関する情報を収集するとともに、資料のデジタル化と目録化を進める。とくに東京の別の個人が仏像の古写真を多く蔵することを確認したため、これらのデジタル化を実施するとともにデータベース構築に着手する。
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