研究課題/領域番号 |
22K13016
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 美香 (五十嵐美香) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (90909756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 観光と音楽 / サウンドスケープ / 古関裕而 / 福島駅 / 日常と非日常 / 発車メロディ / 観光資源 / ミュージック・ツーリズム / 地域性 / 公共性 |
研究開始時の研究の概要 |
音楽と観光の研究は、1980年頃より民族音楽学領域で活発化し、近年ではミュージック・ツーリズム研究等の新領域が国内外にて展開される等、関心が高まっている。 本研究では、2000年頃から増加傾向にある鉄道駅の「ご当地発車メロディ」を、観光に関わる現代的な音楽形態として検討する。JR福島駅等、国内事例に対する資料調査・フィールド調査により、設置・使用継続の過程、現地での聴取実態を調査した上で、発車メロディの観光資源性・地域性・公共性という多面的性質に着眼する。これにより、採用/設置者・地域住民・観光客らの人々と音楽の間に構築される関係性について検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、昨年度に引き続き、JR福島駅周辺に日常的に流れる、発車メロディ等を含めた古関メロディを中心に調査・検討を行った。研究計画では、2023年度は、JR宇都宮駅、江の島電鉄藤沢・鎌倉駅での調査を実施する予定であった。しかしながら、古関の野球殿堂入り、コロナ収束による観光業の活性化等の新たな契機によって、行政諸機関・地域住民、観光客との関係性の重要な変化が想定されることから、福島駅周辺における限定的且つ継続的な調査・検討が本研究の目的に照らし、より重要であると判断した。 2023度の実績は具体的に次の2点となった:①フィールド調査結果の整理と検討:2022年12月に行った古関裕而記念館職員へのインタビュー調査の文字起こしを含め、現地調査の結果を整理・検討した。さらに、動的・主体的に働くエージェンシーとしての古関メロディの可能性等に関しても考察を深めた。これらにより、本研究の目的にある「音楽を契機とした人と人との関係性の構築、音楽と人間の関係性の変化」に関して考察を深めることが可能となった。②日本経済新聞取材への情報提供に際して、発車メロディ普及・使用に関する最新の状況の概観等を行った。(日本経済新聞社, 日本経済新聞「なるほど!ルーツ調査隊:発車メロディー、先駆けはレコード 駅環境改善にも一役 」2024年1月29日電子版・夕刊)これは、アカデミックな学術研究の場のみならず、研究成果を広く共有する意味においても重要な成果であったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度は、2023年9月の出産に伴い、福島駅周辺におけるフィールド調査が実施が困難となったため、これまでの調査の結果に関する整理・検討・考察が中心となった。本研究では、調査地現地において時間・場所を共有しながら、地域の人々や観光客と実際に鳴っている音楽・メロディを聴取し、聞き取り調査等を実施することにより、音・音楽と人々の関係性が明らかになることを前提としている。現時点では更なる現地調査の実施が必要な状況であることから、2023年度の進捗状況は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査により、発車メロディを含む古関メロディを起点とした関係性を有する人々・諸機関が明らかになってきた。それらは、市行政諸機関(観光課・文化振興課・交通政策課等)、福島市古関裕而記念館、地域の教育機関(保育園、小・中・高等学校、大学)、地元企業、商工会議所、地域住民(高齢者・子どもを中心とした)、観光客などである。24年度は、市職員・古関裕而記念館職員へのインタビュー調査により、これらの関係性について、日常的な、あるいはイベント等による関係性の深まり、コロナ禍における関係性の変化等の観点から考察・検討を進めていく。また発車メロディ設置時に生じた関係性についても改めて整理を行う。 また、これまでの調査では冬季(1-3月)における現地調査が実施できず、観光客が減少する時期でのメロディ聴取状況調査や、例年2月上旬に開催される「音楽による福島まち造り実行委員会」によるコンサート・イベント等への参与観察が必要となっている。よって24年度は冬季にも現地調査を実施し、日常的・非日常的な場面を含め、1年を通した音と人々との関係性の変化に関しても検討を進める予定である。 出産・育児に伴う研究の遅れに関しては、最終年度を1年延長申請し、2025年度まで調査を継続実施することにより対応する予定である。
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