研究課題/領域番号 |
22K13049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
柳川 響 同志社大学, 文学部, 助教 (50876802)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 藤原忠通 / 法性寺殿御集 / 本朝無題詩 / 和漢朗詠集 / 本朝文粋 / 漢詩文 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、藤原忠通の自撰漢詩集である『法性寺殿御集』を主な研究対象とし、忠通とその周辺の漢詩文を収集・整理し、注釈を付けていく。また、漢詩文の典拠や交友関係など、注釈を通して得られた成果を基に、忠通の文学的活動や学問的背景がいかなるものであったかを明らかにする。そして、摂関家という枠組みで捉え直すことで、忠通をどのように再評価することができるか検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、平安時代後期に詩壇や歌壇を主催するなど、当時の文学世界で中心的役割を果たした藤原忠通の漢詩文に関わる活動に焦点を当てるものである。そして、自撰漢詩集『法性寺殿御集』を含む、忠通の作成した漢詩文を主な研究対象とし、それらの注釈を通して忠通の文学的活動や学問的背景を解明することを目的とする。 2022年度は『法性寺殿御集』に所収されている句題詩を中心に注釈作業を進めた。注釈においては単に言葉の意味を示すだけでなく、適切な用例が掲出できるように心掛けている。そのため、表現や語句の典拠を精査し、原拠となる漢籍の用例を探るだけでなく、忠通が読んでいたと考えられる中国や日本の類書や幼学書、注釈書などについても広範に調査を行い、忠通の学識や詠作の背景を明らかにすることを目指している。 こうした注釈作業を通して浮かび上がった課題や発見は個別に検討を行っている。その一つの成果として、関西軍記物語研究会第一〇五回例会(於関西学院大学、2022年12月11日)において「藤原忠通と幼学書――忠通の詠作の背景を探る――」という題目で口頭発表を行った。これは忠通の漢詩における幼学書や類書の影響に注目し、その学問的背景や表現的特色について考察を行ったものである。この発表では『本朝文粋』や『和漢朗詠集』など和書の影響を受けながらも、詩題に則った故事や表現の模索、新奇な表現の摂取を行うなど、忠通の漢詩に広く深い表現世界があることを確認した。そして、その発表内容を基に論文としてまとめ、「藤原忠通の漢詩における和書の受容と表現的特質について」(『文化学年報』第72輯、2023 年3月15日)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の当初の計画では、忠通の漢詩と、忠通の周辺で作られた漢詩文の収集・整理を行い、『法性寺殿御集』所収の句題詩の春と秋(1~22)について注釈を完成させることを目指していた。忠通とその周辺の漢詩文については収集・整理を終えたが、注釈については夏の3首がまだ手付かずで残っている。また、成果の一部を口頭発表や論文にまとめる中で、かなり詳細に語釈を検討したものと、まだ不十分なものが混在しているため、更に検討・整理を進めていく必要がある。2022年度内に終えることができなかった注釈については、2023年度の研究の中で補っていく所存である。 したがって、現在の進捗状況としては、当初の計画よりやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は前年度に終えることができなかった注釈を完成させた後、『法性寺殿御集』所収の句題詩の秋と冬(23~54)の注釈作業に移っていく予定である。2023年度内に忠通の句題詩の注釈が完成することを目指したい。
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