研究課題/領域番号 |
22K13054
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 九州共立大学 |
研究代表者 |
二宮 愛理 九州共立大学, スポーツ学部, 講師 (70878256)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 栄花物語 / 引歌 / データベース / 物語文学 |
研究開始時の研究の概要 |
「引歌」は、先行する和歌の表現(元ネタ)を用いて表現する手法である。物語作品の読解には「引歌」の理解が欠かせない。本研究では、平安後期に成立した古典文学『栄花物語』の引歌に関する総合的なデータベースを構築する。これにより、引歌に関わる多様な項目からの検索、応用発展的な調査、考察が可能になる。その上で、引歌の理解が不十分であった部分の読解を進めるとともに、データに基づいた『栄花物語』全体の引歌表現の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本研究(5箇年)の初年度にあたる。そのため、研究の環境を整えることから始めた。配分された研究費を用い、PC、タブレット、書籍等を購入し、オンラインサービスにより提供されている文学作品のデータベースを契約した。 これらを用いて、『栄花物語』における引歌に関するデータの入力作業を行った。採択前に作成していた試行版の段階では正篇のみのデータであったが、続篇の基本データを追加した。また、試行版を作成していた時には発見できていなかった用例を数点加えた。現在も引き続き、データ入力作業を行っており、全体の4割程度が完了したものと推測される。計画では、1~3年次にデータ入力作業を行うこととしていたので、概ね順調に進んでいるといえよう。 これに加えて、引歌とされている1例を取り上げ、中古文学会2022年度春期大会(於専修大学)にて、「悲恋の斎宮:『栄花物語』における当子内親王と藤原道雅をめぐって」と題して研究発表を行った。ここで挙げられた意見として、引歌の認定は非常に難しいものであること、すなわち、そもそも引歌表現と認められるかどうかの時点で意見が割れることがあった。ある研究者は引歌(元ネタとなる特定の和歌がある表現)であると判断していても、他の研究者からは特定の歌を想定せず、歌語(和歌に一般的によく用いられる語)を散りばめているだけではないかといった意見が出された。本研究は、その意見の相違(引歌認定の是非、どの歌を元ネタとするかなど)を含めてデータベース化するものであり、個々の研究、問題提起においても、これらの情報が必要とされる機会があることが確認できた機会となった。 2023年度は、引き続きデータの入力作業を進める。同時に、引歌データの入力フォーマットとして、汎用性のあるものにするにはどうすれば良いか、入力方法等についても検討を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、1~3年次にデータ入力作業を行うこととしていた。現在、データ入力作業は全体の4割程度が完了したものと推測される。よって概ね順調であるといえる。 2022年度(初年度)は、基礎となる『栄花物語』本文の該当箇所、元歌、元歌作者、出典、部立など、付随情報を入力した。また、購入することができた研究書については一部データに反映した。
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今後の研究の推進方策 |
2023~2024年度は、引き続きデータ入力を行う。状況が整い次第、学生のアルバイト等による作業委託も行う予定でいるが、状況によっては次年度以降に繰り越す可能性がある。 同時に、文学研究における引歌データの入力フォーマットとして、汎用性のあるものにするにはどうすれば良いかといった、入力方法、データ処理の方法等についても検討を進めたい。
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