研究課題/領域番号 |
22K13056
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 宮崎産業経営大学 |
研究代表者 |
清松 大 宮崎産業経営大学, 法学部, 准教授 (70911890)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 宗教思想と文学 / 足尾銅山鉱毒事件 / 日本近代文学 / 宗教思想 / 科学的合理主義 / メディア研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、19世紀から20世紀への世紀転換期における日本の文学空間において、宗教的な思想や言説がどのような機能を有していたかを解明することを目指す。1900年前後の思想界では、雑誌等のメディアで宗教問題が盛んに議論されていたが、この時期は近代宗教学の確立期にもあたり、既存宗教の体系が問い直されてもいた。そうした動きは同時代の文学的潮流にも影響を与えており、多くの文学者たちの言説において同時代の宗教(学)者との思想的共鳴がみられる。本研究は、上記のような問題意識のもとに文学研究と宗教史研究を越境し、両分野の有機的連関を領域横断的に解き明かそうとするものとして位置づけられる。
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研究実績の概要 |
博士学位論文をベースとし、一部に本科研費プロジェクトによる成果を盛り込んだ『世紀転換期文学の思想空間――明治文壇のニーチェ熱と宗教の季節』を年度末に春風社より刊行した。本研究の成果は、主に書き下ろしの第6章に反映されており、田口掬汀の宗教論について、宗教学者の姉崎正治や、清沢満之を中心とする「新仏教」勢力の言説と突き合わせている。メディア研究の観点からは、文学雑誌『新声』と宗教雑誌『精神科』との思想的近接性がより鮮明となった。 特に新たな観点として、清沢が唱えた「精神主義」と田口の宗教論が、ともにトートロジカルな論理的陥穽をはらんでいたことを発見したのは大きな成果であった。また、ここでの論点が、国木田独歩のような同時代カノン作家の思想形成とも接続しうることを展望として示せたことも、ひとつの達成であったといえる。 また、次なる成果につながる調査として、足尾銅山鉱毒事件に関連する社会運動やメディア報道、ルポルタージュ等に関する調査を進めた。その中で、鉱毒問題にはキリスト教系の団体や仏教者らの宗教者が多くコミットしていたことが明らかになった。特に注目すべきものとして、キリスト教者でもあった木下尚江が『毎日新聞』に連載したルポルタージュ『足尾鉱毒問題』(1900)や、キリスト教系の日本婦人矯風会に所属していた新聞記者の松本英子が著したルポルタージュ『鉱毒地の惨状』(1902)などが挙げられる。本年度は、こうした資料の収集と読み込みに注力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果を一部に盛り込んだ単著を刊行した。また、足尾銅山鉱毒事件に関しても、多くの資料を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、足尾銅山鉱毒事件について、雑誌・新聞記事等のジャーナリズム報道を中心に踏査する。他方、事件に関わった宗教団体の活動内容の詳細を明らかにしていく。それらの二要素と、上記「研究実績の概要」でふれた木下尚江と松本英子のルポルタージュが、どのように関連づけられるのかを考察していきたい。そのうえで、上記のような鉱毒事件関連のルポルタージュについて、松原岩五郎『最暗黒の東京』(1893)や横山源之助『日本之下層社会』(1899)に代表される明治期の記録文学との連続性という観点から比較検討する。 また、その数は少ないとされるが、鉱毒問題を扱った小説作品についても改めて調査する。そうした小説や上記のルポルタージュ群を、下層社会や民衆への意識という視座において、いわゆる「悲惨小説」の文脈に接続することができないかどうか探っていきたい。
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