研究課題/領域番号 |
22K13058
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 大阪公立大学工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉田 大輔 大阪公立大学工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30862528)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 文学と商工業 / 実業小説 / 幸田露伴 / 『実業少年』 / 博文館 / 『成功』 / 簡易生活 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代日本における文学と商工業との交差が持つ文化的意義の一端を明らかにしようとするものである。 具体的には、文学史と産業史を架橋する領域横断的な着眼から、明治後期から大正初期に刊行された少年向けビジネス雑誌『実業少年』(1908~1912、博文館)とそこに掲載された「実業小説」に着目する。こうした小説群の意義を、①立身出世が持つ意味の変容、②「実業小説」のキーパーソンとしての幸田露伴、③ライバル誌『成功』との対抗・共闘関係もふまえた『実業少年』の独自性、④「実業小説」と『実業少年』の他の記事との連動性、⑤『実業少年』読者欄の分析から見る「実業小説」受容の能動性、以上の側面から解明する。
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研究実績の概要 |
本年度、取り組んだ研究は、主に以下の四点である。 一点目は、予備調査の段階で得た、雑誌『実業少年』に幸田露伴「御手製未来記」(1911)のまったく知られていない最終回が存在したとの新発見をめぐるものである。この新発見に基づき、本文を翻刻し、その意義を論じる論文をおおむね成稿した。残念ながら本年度中に完成にまでは至らなかったため、2023年7月までを目標にこの論文を完成させ、投稿を試みたい。 二点目は、『実業少年』と類似した性格を持つ雑誌『成功』に関するものである。『成功』誌上に発表された幸田露伴の文章と、『実業少年』に発表された幸田露伴の文章とを併読していくと、「簡易生活」という概念がどちらにも共通して見出せるとの知見を得た。さらに、「簡易生活」が明治後期の一つの流行概念であった様態にも気づくことができ、この流行の源泉の一つである徳富蘇峰やワグネル、上司小剣が編集した『簡易生活』(1906~1907)にまで調査の範囲を広げていった。このような作業を通じて時代的流行を幸田露伴がどのように取り込んだのかを検証するという、次年度へ向けての問題意識の発展を得た。 三点目は、二点目の取り組みとも大きく関係するが、幸田露伴が『実業少年』に発表した「供食会社」(1912)をめぐる研究である。ファストフード産業への夢を語るこの小説の分析を進め、①チャイルズ・レストランというアメリカの外食産業の取り組みが材源となっていること、②「簡易生活」という流行概念をこの小説に取り入れていること、の二点に特に注目して研究した。この成果は、2023年6月に日本比較文学会全国大会で報告する予定であり、2023年度中に論文化したい。 四点目として、『実業少年』の復刻版刊行を視野にいれ、この雑誌の刊行状況などの基本的な情報を整理し、『実業少年』のほぼ全ての内容が見渡せるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中に前述の露伴「御手製未来記」最終回に関する新事実についての論文を成稿する予定であったが、本文を仔細に検討していくと更なる調査と分析が必要となることが明らかになったため。具体的には、「御手製未来記」を含む作品群を『立志立功』(1915)として露伴が単行本化した際に、編集の不手際によって最終回が未収録となってしまったとの見立てを当初持っていたが、分析を進めると露伴自身によると見られる改稿も複数確認できたので、この最終回の削除が不手際なのか意図的なものなのかは更なる検討が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
学会発表、論文公表ともに本年度は満足な成果を得ることができなかったものの、今年度の資料分析を通じて複数の発見を得たため、次年度は成果公表を複数行うよう努める。それと並行して、資料収集・資料分析・「実業小説」の量的な把握のためのデータ作成、論文執筆などを続ける。また、2022年度はコロナ罹患などにより、当初予定していた図書館調査が行えなかったため、2023年度に集中してこうした調査も行う。
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