研究課題/領域番号 |
22K13060
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
山本 嘉孝 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (40783626)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 伊藤仁斎 / 伊藤東涯 / 古義堂 / 作文 / 文会 / 書画 / 漢文 / 書き入れ / 添削 / 黄檗宗 / 安東省菴 / 儒学 |
研究開始時の研究の概要 |
伊藤東涯(1670~1736)は、近世中期~明治期(18~19世紀)の日本で広まった漢文制作の技法の精錬と普及に大きく寄与した近世日本の儒者である。本研究の目的は、伊藤東涯が精錬・普及させた、日本語話者が漢文制作の能力を身に付けるための方法(すなわち、主として語彙集の活用、および和文漢訳)について、東涯自身による漢文の実作・校正の内容とも比較対照しながら、具体的に明らかにすることにある。本研究の創造性は、東涯の漢文作文を、江戸後期・明治期の日本漢文の原型として位置づける点にある。
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研究実績の概要 |
当該年度は、伊藤仁斎・東涯が、漢文作文の練習・鍛錬のために、どのような場を設けていたかを検討すべく、「同志会」・「訳文会」・「制義会」を取り上げ、口頭発表を行い、論文を発表した。定期的に集まり漢文作文を行う場として古義堂で開催された「文会」が、集団で議論しながら儒学経典を読む「会読」と関連していたこと、また近世中後期に「文会」が古義堂の外にも広がっていった様相を明らかにした。特に、近世中期の龍野藩と大坂で開催された「文会」、また江戸の昌平坂学問所関係者たちによる近世後期~明治期の「文会」に光を当て、古義堂で行われた漢文作文の練習が、「文会」という場を通して近世後期~明治期の日本に与えた影響について考察した。「文会」と「詩会」の相違点についても論じた。 あわせて、東涯の三男である伊藤東所が、18世紀末・19世紀初頭の京都で、書画を通してどのような儒者・文人・画家たちの文芸ネットワークに参加していたのかも検討し、口頭発表を行った。特に、上方で流行した書画帖制作の文脈のなかに古義堂がどのように位置づけられるかについて考察した。古義堂の特徴として、集団で漢詩文制作に携わることを殊に重視する姿勢が浮かび上がってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、古義堂における漢文作文の現場について検討し、更に古義堂の外に視野を広げて、古義堂を取り巻く人的交流についても明らかにすることができた。具体的な漢文作文の練習方法について、より詳細な調査と考察を行うことができればよかったが、そのような調査・考察を行うための大きな枠組みの部分が明確になってきたので、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、文会で具体的にどのような漢文作文の練習が行われたかを検討し、特に日本語話者に特有といえる作文練習の方法である訳文・覆文に焦点を絞る計画である。あわせて、文会の引き札(招待状)について調査を行う予定である。 また、東涯が参加した文芸ネットワークについても明らかにし、東涯・東所父子の人的交流の中に古義堂の漢文作文を位置づけ、古義堂風の漢文作文が古義堂の外にも広まっていった具体的な様相を調査する計画である。
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