研究課題/領域番号 |
22K13065
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
NG LAYSION 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80914960)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ヘミングウェイ研究 / アメリカ文学 / 非人間中心主義 / アントロポセン / ポストヒュマンニズム / マテリアル・エコクリティシズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アーネスト・ヘミングウェイの作品における非人間中心的な視点や立場を明らかにすることを目的とする。非人間中心主義は「人新世」の時代から生まれた「環境人文科学」という分野横断的な学術コミュニティにおいて非常に重要なキーワードである。本研究は、環境人文科学の中に言及されている非人間中心的な観点や理論を用いて、ヘミングウェイの作品の中に潜んでいる非人間中心的な考え方や立場などを掘り出すことで、地球と人間の未来を問う人新世の時代における「人間の条 件」を検討し、「人間」として持つべき道徳的・倫理的な観点を再考することを目指す。
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研究実績の概要 |
近年のヘミングウェイ批評は、主にジェンダー・セクシュアリティの視点から作品分析を行うものが多い。この「欠陥」を補うために、本研究は「環境人文科学」における最新の理論や観点を用いてヘミングウェイ文学における非人間中心的な視点を多角的に分析し、 地球と人間の未来を問う人新世の時代における「人間」として持つべき道徳的・倫理的な観点を再考し、新たな「ヘミングウェイ像」及び学術的意義を提示することを目指している。本研究は忘却されてきたモノや他者の「主体性」をテーマとするヘミングウェイ文学を集中的に分析することで、従来のヘミングウェイ批評とは異なったより多層性をもつ「ヒューマニティー」を追究する。この点において、本研究は他の研究にはない学術的な独創性と先駆性を有している。令和4年度の研究実績として、5月にThe Hemingway Reviewに"The Politics of Cure: Jake Barnes's Mastery of Submission in The Sun Also Rises”という論文が掲載された。また、同年7月17日から23日にかけてアメリカのワイオミングとモンタナにおいて第19回国際ヘミングウェイ学会にて口頭発表を行った結果、アメリカと日本の学者からそれぞれヘミングウェイ研究書の共同執筆を招待され、計画として令和6年中に出版する予定である。さらに、令和4年8月から10月において短期訪問研究者としてイスラエルのテルアビブ大学に滞在し、現地のヘミングウェイ研究者と交流を深めながら自分の研究書にとって有益な指導やフィードバックを受けた。また、滞在期間中に研究書の第1段階の書き直しを完成した。そして、現在は第2段階の修正に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
執筆した研究書“Hemingway and Cultural Ecology"を2022年の10月にCambridge University Press へ提出したところ、意見の分かれたフィードバック(ポシティブとネガティブの評価が各1つ)を受けた。今後の計画として、Idaho Universityの名誉教授かつASLE(文学と環境学会)のファウンダーであるScott Slovic氏から研究書の指導を受けることになっている。その後、また適切な出版社を探る予定である。Cambridge UPから研究書の出版を断ったが、まだ4年の研究計画の2年目であり、書き直しの時間はあるので、引き続き研究書の完成に向けて注力するつもりである。同時に、ドイツのAugsburg Universityの名誉教授であるHubert Zapf氏からも研究書の指導の同意を得たので、両氏から適切なフィードバックを受けることにより、より一層優れた研究書を作成できると確信している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、(1)Cambridge UP、Hubert氏、Scott氏のフィードバックをよく考慮した上で研究書の書き直しの作業を進めていきたい。そのために、7月にOregon在住のScott氏を訪問し、一緒にPortlandで開催されるASLE-AESSの国際学会に参加することになっている。Hubert氏との面会は未定だが、予定が合い次第、ミーティングをするつもりである。また、今後も(2)国内外の学会(アメリカ文学会、ヘミングウェイ協会、環境文学学会など)に積極的に参加して沢山の研究者と交流したり、研究・出版社とのネットワークを広げたりするつもりである。今年はアメリカでの学会に参加する以外に、年末に日本ヘミングウェイ学会にて口頭発表をする計画を立てている。さらに、(3)最新のEnvironmental Humanitiesやヘミングウェイに関する研究書を入手し、常に新たな専門知識を吸収するように努めていきたい。
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