研究課題/領域番号 |
22K13070
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
林 日佳理 岐阜大学, 教育学部, 助教 (20837554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | David Foster Wallace / Infinite Jest / ポスト・ポストモダニズム / 新誠実 / 病気 / ポストモダニズム / アメリカ文学 / デイヴィッド・フォスター・ウォレス / 誠実 / アイロニー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代英語圏文学におけるポストモダニズムの流れの最先端を「ポスト・ポストモダニズム」という枠組みで捉え、その中心となるアメリカ人作家デイヴィッド・フォスター・ウォレスの文学作品を精査し、20世紀末から21世紀にかけての他の英語圏作家や作品との詳細な比較を通じて文学史的な位置づけを行おうとするものである。その際、ポストモダニズムとポスト・ポストモダニズムの分水嶺として論じられるアイロニーとシンセリティの関係に注目し、ポスト・ポストモダニズムにおけるシンセリティが「アイロニーの反動としてのシンセリティ」というよりもむしろ「アイロニーと融合したシンセリティ」であることを論証する。
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研究実績の概要 |
現代アメリカ作家David Foster Wallaceについての研究を実施した。今年度は主に、David Foster Wallaceとその先行世代の作家たちとの関係について焦点を当て、世代間コンプレックスと病気という側面から考察した。 David Foster Wallaceの代表作Infinite Jestを中心に、父子関係における世代的なコンプレックスを精査し、Wallace自身がその後進世代として両面感情を持っているポストモダニスト作家たちに対するコンプレックスと関連させて考察した。この研究成果を、論文にまとめ発表した("'Have a Father Whose Own Father Lost What Was There': Filial Debt in Infinite Jest"、岐阜大学教育学部研究報告(人文科学) 71(2) 105-114 2023年3月 )。 また、Wallaceの世代的コンプレックスを文学史的に拡大して考察するために、彼の著作の中の「病気」の描写にスポットライトを当てた。ポストモダニズムの代表としてThomas Pynchon、モダニズムの代表としてVirginia Woolfを設定し、その「病気」描写を抽出してWallaceのそれと比較することにより、Wallaceのポスト・ポストモダニストとしての先行世代の遺産の尊重とそこからの脱却を図ろうとする試みについて、New Sincerityとの関連も視野に入れながら考察した。この研究成果を、学会での口頭発表としてまとめた(「David Foster Wallaceと病―Thomas Pynchon, Virginia Woolfと比較して」、日本英文学会中部支部大会 2022年10月22日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、David Foster Wallaceのポスト・ポストモダニズム的な側面の研究を、口頭発表と論文発表とにまとめることができた。国内にいながら入手できるあらゆる文献を精査し、またWallaceをほかの作家と比較する視点として「病気」というキーワードを発見できたことで、上記の研究が可能になった。次年度以降は、海外での調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、テキサス大学オースティン校のハリー・ランサム・センターでの文献調査を実施し、David Foster Wallaceの周囲の作家・編集者とのかかわりの中で、彼の文学活動の全体像を把握することを目標とする。また、ここまでの研究成果を口頭発表や論文としてまとめる。
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