研究課題/領域番号 |
22K13075
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
廣瀬 絵美 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10802506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | センター42 / フォークリヴァイヴァル / 労働者階級 / アーノルド・ウェスカー |
研究開始時の研究の概要 |
1960年代初め、イギリスの戯曲家アーノルド・ウェスカーは、労働者階級の人びとに文化を伝える組織としてセンター42を結成し、地方の都市を巡回するフェスティバルを開催した。本研究では、センター42の活動に含まれていた「フォークソングコンサート」と「民謡劇」に着目し、文献・音源資料をもとに「労働者」の表象を分析することにより、フォークリヴァイヴァルがロンドンの草の根的な活動から地方へと波及したかを検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、イギリスの戯曲家アーノルド・ウェスカーが1960年代初めに結成した組織、センター42のフェスティバルに含まれていた「フォークソングコンサート」と「民謡劇」に着目し、文献・音源資料をもとに、そこから読み取れる労働者の表象とフォークリヴァイヴァルの地方への波及性を分析するものである。 本年度は、センター42主催のフェスティバルにおいてフォークソング部門を担当したイワン・マッコールと民謡劇を創作したチャールズ・パーカーが制作したラジオ番組『ビッグ・ヒューワー』に関する論文を『英米文化』(第53号 2023年3月刊行)に投稿した。炭鉱労働者の描き方が、センター42の構成を成す「民謡劇」や「フォークソング」における労働者の表象にどのように影響を与えたか、その過程を探ることができた。また、『英米文学研究』(第58号 2023年3月刊行)に寄稿する機会を頂き、ウェスカーの戯曲『根っこ』から読み取れるフォークリヴァイヴァルの影響と思想を論じ、センター42との関わりを考察することができた。 2023年3月には、イギリスを訪れ、文献調査を行った。ロンドン・メトロポリタン大学労働組合会議図書館やヴォーン・ウィリアムズ記念図書館、バーミンガム公共図書館を訪問し、センター42に関する資料収集を行うことができた。特にバーミンガム公共図書館では、センター42のフェスティバルで開催された民謡劇『造る人と道具』の音源と台本を閲覧することができ、今後の研究遂行に向けて貴重な資料を得ることができた。またセンター42の関係者の一人に連絡をとることに成功し、当時の活動の様子について伺うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、イワン・マッコールとチャールズ・パーカーが制作した炭鉱労働者をテーマにしたラジオ番組 『ビッグ・ヒューワー』に関する論文を『英米文化』(第53号 2023年3月刊行)に投稿した。また『英米文学研究』(第58号 2023年3月刊行)では、アーノルド・ウェスカーの戯曲『根っこ』から読み取れるフォークリヴァイヴァルの社会背景と思想を論じ、後のセンター42に至るヴィジョンを考察することができた。 2023年3月のイギリス出張では、センター42に関する資料や民謡劇『造る人と道具』の台本を閲覧することができ、今後の研究遂行に向けて大きな足掛かりとなった。資料収集と同時に、センター42に関与した人たちとのインタビューを計画していたが、コロナ禍の影響や調査対象者が高齢のため、インタビュー調査は難しいという現状があった。しかし、イギリスに滞在中、ヴォーン・ウィリアムズ記念図書館のスタッフが研究に協力してくれ、関係者の一人に直接連絡することができた。これを機に、インタビューも進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
数多くの文献資料を入手したので、それらを丁寧に整理しながら、分析・考察を行っていく。研究内容は、積極的に公に発表し、論文としてまとめていきたい。 また、センター42の関係者のインタビュー(必要によってウェブインタビュー)も進めていき、文献調査では分かりえなかったセンター42に関する個々の記録を示したい。
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