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少年俳優研究へのクィア理論の応用可能性

研究課題

研究課題/領域番号 22K13076
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分02030:英文学および英語圏文学関連
研究機関中央大学

研究代表者

木村 明日香  中央大学, 文学部, 准教授 (70807130)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード初期近代英国演劇 / 少年俳優 / 演技 / 女性表象 / 初期近代 / 演技指導 / クィア理論
研究開始時の研究の概要

初期近代演劇における少年俳優研究へのクィア理論の応用可能性を探る。クィアな子供(the Queer Child)とトランス(trans*)という分析軸を用いて、次の二点を検証する。第一に少年俳優が男性性の育成を目的とするグラマースクールと似通った教育(演技指導)を受けながら、女性としての発声やふるまいを反復し、観客や成人俳優のクィアな欲望を喚起したことを論じる。第二に、ジェンダーに加えセックスの流動性を認める医学的言説が支配した当時、少年俳優を含む思春期の少年一般の身体がどのように記述されたのかを検証し、その身体が舞台上で異性愛規範の物語に穴を穿ち、クィアな契機=瞬間をもたらしたことを論じる。

研究実績の概要

2023年度の発表業績は2点である。①第60回シェイクスピア学会(日本シェイクスピア協会、2022年10月1日)において発表した原稿を論文化し、発表した。②初期近代英国における少年俳優研究の最新刊、Harry R. McCarthy,Boy Actors in Early Modern England: Skill and Stagecraft in the Theatre (2022)の書評を寄稿した。

また2023年度からJohn Hemingesが養育した少年俳優たちに焦点を当て、研究を進めている。Hemingesは宮内大臣一座/国王一座の主要メンバーとして多くの少年俳優を徒弟として受け入れ、居候させていたが、Heminges家は同時に子沢山でもあった。本研究ではまず、多くの未成年が住む家をHemingesがどのように切り盛りしていたのかを明らかにすることを目指している。その上で、Hemingesの妻や娘など女性たちとの生活が、少年俳優の女性の演技やクィアなジェンダーのありようにどう影響を与えたのかを明らかにする。

2023年度は彼らのバイオグラフィーに関わる一次資料を調査するため夏季休暇を利用し英国ロンドンに3週間滞在した。Guildhall Library等で調査を行い、John Hemingesが食料雑貨商組合(the Grocers' Company)に徒弟として登録した10数名の少年俳優たちの登録日・徒弟期間終了日を調査した。またこれらの情報をHemingesの子供たちの生年月日と突き合わせることで、Hemingesが養う子供の数が平均4名を超えないよう塩梅しながら、徒弟登録を行っていたことも明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

少年俳優の徒弟登録を食糧雑貨商組合の議事録から調査したが、初めて触る資料・大部の資料だったこともあり、予定よりも時間を要してしまった。当初の予定では、Hemingesの子供たちの出生記録についても一次資料を調査する予定だったが、E. K. Chambers(1923)が詳細なトランスクリプトを作成していることから、これを当面は利用することで、遅れを取り戻したい。次は初期近代ロンドンの家庭の事情、徒弟の生活について調査をしていく。

今後の研究の推進方策

2023年度に行った調査から、Heminges家における少年俳優の徒弟登録の大まかなパターンが把握できたため、次は少年俳優にとってHemingesの妻や娘などの女性との共同生活がどのような体験だったのかを考察していく。出発点としては、Catherine Richardson等による初期近代イングランド/ロンドンの家庭に関する研究をまずは参照する。こうした文献はいわゆる家庭悲劇(Domestic Tragedies)への関心の高まりと連動して、1990年代から多く出版されてきたものである。次に、同時期の徒弟の生活についても二次資料が多くあることから、これらを参照しながら、少年俳優と繋がりのありそうな資料を洗い出していく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] シェイクスピアの劇団における少年俳優の演技とグラマースクール教育の接点2024

    • 著者名/発表者名
      木村明日香
    • 雑誌名

      紀要(言語・文学・文化)

      巻: 134 ページ: 1-40

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Boy Actors in Early Modern England: Skill and Stagecraft in the Theatre2024

    • 著者名/発表者名
      Asuka Kimura
    • 雑誌名

      Shakespeare Studies

      巻: 62 ページ: 17-19

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] More Dissemblers Besides Women におけるクィアな欲望と再生産2023

    • 著者名/発表者名
      木村明日香
    • 雑誌名

      紀要(言語・文学・文化)

      巻: 132 ページ: 69-102

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 少年俳優の演技とグラマースクール教育の接点2022

    • 著者名/発表者名
      木村明日香
    • 学会等名
      第60回シェイクスピア学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] Performing Widowhood on the Early Modern English Stage2023

    • 著者名/発表者名
      Asuka Kimura
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      De Gruyter; Medieval Institute Publications (MIP)
    • ISBN
      9781501520204
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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