研究課題/領域番号 |
22K13086
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 志學館大学 |
研究代表者 |
高根 広大 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (60849339)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | シェイクスピア / 修辞学 / 雄弁術 / 教育 / ジェンダー |
研究開始時の研究の概要 |
シェイクスピア演劇には雄弁な女性が多く登場するが、初演当時の修辞学教育は、基本的に男性のみを対象としていた。一方で、当時の修辞学教育に関する資料を読み解いていくと、意外にも修辞学に女性性が言及されていることがわかる。それでは、シェイクスピア演劇における女性の雄弁とはどのようなもので、どのように習得されているのか。本研究では、シェイクスピア演劇における女性の雄弁と教育について、同時代の資料を手掛かりに作品を精読し、解明する。
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研究実績の概要 |
2021年10月に行われた日本英文学会九州支部第74回大会(オンライン開催)での口頭発表「『ヴェニスの商人』におけるポーシャの教養」を発展させ、同名の論文として投稿し、『英文学研究 支部統合号 15』(2023年1月20日、pp. 263-271、九州支部英文学)に慫慂論文として掲載された。 この論文では、ウィリアム・シェイクスピアの喜劇『ヴェニスの商人』(推定初演1596-98)において、主要登場人物であるポーシャが、夫バサーニオの友人アントーニオを裁判で救うために発揮した雄弁術について、初演当時のイングランド社会で考えられていた女性教育の在り方と比較しながら分析し、物語の喜劇展開と関連させて論じた。女性教育論として議論したのは、特にファン・ルイス・ヴィヴェスの『キリスト教女性の教育』(1523、英訳1529)と、リチャード・マルカスターの『提言』(1581)である。 具体的にはまず、『ヴェニスの商人』に描かれるポーシャの教養に、当時の女性教育の制限が反映されていることを分析した。この傾向は、材源の一つであるジョヴァンニ・フィオレンティーノの『イル・ペコローネ』(1558)と比較すると、より明らかになった。次に、ポーシャを演じた少年俳優と男性教育との関連から、ポーシャの未完成な教養について論じた。これによって、ポーシャは女性登場人物でありながら、グラマー・スクールで学ぶ少年をも表象しているという見解が得られた。続いて、箱選びの場面を分析し、男性中心的な社会において、女性の雄弁術教育に対して抱かれる脅威を、本作品におけるオウィディウスの受容とともに読み解いた。最後に、裁判と指輪事件を分析し、こうした脅威にもかからわず、ポーシャの教養が男性中心的な教育観を転覆させ、喜劇的展開を導くことを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『ヴェニスの商人』については、予定通り、研究成果をまとめることができた。年度当初は『じゃじゃ馬馴らし』の研究成果もまとめる予定であったが、こちらは達成することができなかった。理由としては、本研究において、新たに『ロミオとジュリエット』を研究する可能性が生じたことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究開始当初の予定を少し変更し、『ロミオとジュリエット』の研究を中心に進める予定である。この研究の一部は、第61回シェイクスピア学会セミナー3にコーディネーターとして参加する際に、形にしたいと考えている。予定されていた『じゃじゃ馬馴らし』、『お気に召すまま』、『コリオレイナス』の研究は、その後に成果を公表する予定である。
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