研究課題/領域番号 |
22K13101
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
西出 佳代 金沢大学, 人文学系, 准教授 (90733311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ルクセンブルク語 / 所有表現 / 名詞類 / 記述言語学 / ゲルマン語学 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀からの研究の蓄積があり発展を続けるドイツ語諸方言の研究の中で、西中部ドイツ語については代表的な文法記述が未だない状態が続いている。本研究は、西中部ドイツ語の中でもルクセンブルク大公国の国語へと昇格したルクセンブルク語を研究対象とし、あらゆる個別現象の研究の基盤となる体系記述を行うことによって、国内外の研究に欠けた俯瞰的な視点を補い、研究の充実を図るものである。本研究課題では特に名詞類の体系記述を行う。ルクセンブルク語研究の発展に寄与し、また母語話者以外の研究者が西中部ドイツ語研究へと乗り出す足掛かりとなることで、ドイツ語研究やゲルマン語研究に新たな視座をもたらすことを目指すものである。
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研究実績の概要 |
2023年度も疾病治療中のため出張を伴う研究活動等はできなかったが、関連文献などの資料を収集・精読し、可能な範囲で研究を進めた。 2023年度に焦点を当てたのは、ルクセンブルク語における所有の与格表現である(lux. dem Papp saein Auto (the(DAT) father his car「父親の車」))。ルクセンブルク語では属格の形式が廃れており、限られた慣用表現に残っているのみである。所有を表現する場合に多く使用されるのは、所有の与格表現と前置詞 lux. vun (engl. of) を用いた表現である。Zifonun (2003) によると、ドイツ語ヘッセン方言、プファルツ方言、バイエルン方言、チューリンゲン方言及び低地ドイツ語において所有の与格表現が観察されるが、所有者が無生物の場合には使用することができないという有生性の制限があると指摘されている。ルクセンブルク語においても同様の傾向が観察されるが、Doehmer (2020) では、ルクセンブルク語においても有生性の制限は観察されるものの、無生物が所有者の場合も所有の与格が使用される例もあると指摘されている(lux. dem Alkohol seng Schold (the(DAT) alcohol its fault「アルコールのせい」))。ただし、この例における「所有物」lux. Schold (fault) は、有生の名詞句との親和性が高い名詞であると考えられる。Doehmer (2020) はコーパスのデータを用いた研究だが、より様々な例について母語話者への調査を行い、ルクセンブルク語における所有表現について整理する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疾病治療中のため、計画通りに研究を進めることが困難だった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き疾病治療を続ける予定であるため、特に2024年度前半は遠隔地への出張や長期出張をすることは困難であると考えられる。そのため、現地調査や研究発表の場は限られるが、資料収集を精力的に行い、可能な範囲で研究を進めることとする。ただし、2023年度の成果で、母語話者への調査の必要性もあることがわかったため、体調が回復するようであれば、2024年度後半に母語話者への調査を行うことも視野に入れたい。 2024年度前半は、当初計画していた3人称単数女性における親称/敬称の使い分けについての資料の収集・精読を進める。後半は、可能であれば2023年度の課題として残った所有表現についての母語話者への調査も行いながら、次のテーマである名詞の複数形に関する資料を収集することとする。
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