研究課題/領域番号 |
22K13102
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安部 麻矢 大阪大学, マルチリンガル教育センター, 特任講師(常勤) (90866295)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | バントゥ諸語 / 関係節 / 記述言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、タンザニア北東部で話されるG20グループに属するバントゥ諸言語を対象とし、タンザニアでの言語記述調査によって収集する一次資料をもとに、特に関係節構造の分析を行う。関係節の記述・分析においては、以下のようなことを明らかにする。 1. 各言語の関係節の構造 2. 関係節内であらわれるテンス・アスペクト標識の制約 3. 主要部 (先行詞) の関係節内での統語的機能による関係節構造のあらわれかたの差異 4. 関係節による名詞修飾の、主要部と関係節の意味的関係性 上記のような関係節の記述・分析を中心として、最終的にG20グループの各言語の形態統語体系の構造的多様性を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題はタンザニア北東部での現地調査で収集する、バントゥ諸語のG20グループに属する各言語の一次資料をもとに分析を行うものである。本研究で対象とするG20グループの各言語は、タンガ州とキリマンジャロ州で話されている。このうち、マア語、シャンバー語、パレ語については、研究代表者はすでに基礎的な文法記述を終えているが、ボンデイ語については詳細な文法記述がまだされておらず、先行研究もない状況である。また関係節についての一次データについては、マア語以外の言語のものは十分なデータがあるとはいえない状況である。このため、今年度はまずタンガ州にてボンデイ語の基礎的な文法記述および関係節の記述調査を行い、キリマンジャロ州のパレの人々の居住地域にてパレ語の関係節の記述調査を行うこととした。この記述調査は夏季に実行予定であったたが、コロナ禍の影響もあり、令和5年1月から2月に延期した。 渡航までの期間には、研究代表者が収集したマア語やシャンバー語の関係節のデータや先行研究にみられる関係節に関する記述をもとに、G20諸言語の関係節についてまとめ、東京外国語大学アジア・アフリカ研究所共同利用・共同研究課題「多言語混在状況を前提としたアフリカ記述言語学研究の新展開」の研究会 (R4.10.8開催) にて発表を行い、アフリカ諸言語の研究者との意見交換を行った。また、日本国内在住のシャンバー語の話者に対して、関係節に関する聞き取り調査を実施した。 上述の通りの渡航時期変更の影響で、研究代表者ではなく研究協力者が渡航し、研究代表者が用意した調査票を用いた現地調査を行った。タンガ州でボンデイ語の基本的な文法調査ののち、関係節について、調査票に基づきデータを収集した。また、キリマンジャロ州ではパレ語の関係節について調査票に基づきデータを収集した。 研究協力者の帰国後、収集されたデータを分析のために整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査のための渡航の時期が遅れたことにより、関係節についての一次データの入手が遅くなり、分析の時間が十分に取れなかったため、当初予定していた学会や研究会への発表や学術誌への投稿を行う時間が持てなかった。 ただし、現地調査では十分なデータを得られており、また現地にいる調査対象言語の話者とは連絡が取れる状況であるので、来年度は遅れた分を取り戻し、積極的に成果発表を行える見込みがある。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、言語記述調査のためにタンザニアに渡航するのが遅れた分、データを分析しまとめる時間が十分に持てなかったが、現地調査では十分なデータを得られており、また現地にいる調査対象言語の話者とは連絡が取れる状況であるので、次回の現地調査までにデータの整理と、新たな調査票を準備する。また、シャンバー語については、国内に話者がいるため、今後も継続して国内でできる限りのデータ収集を行う。 他のバントゥ諸語の関係節および名詞修飾の研究については、国内外の研究者が近年行った研究の成果が出されている。これらの研究を参考にし、G20諸言語に特異的にみられる特徴があるのか、もしくは他の地域のバントゥ諸語と同様の傾向がみられるのかなど、バントゥ諸語のマイクロバリエーション研究へも寄与できるように、国内外の研究者との意見交換を積極的に行うことにより、現在のバントゥ諸語研究での研究の流れも把握しながらG20諸言語のケースを分析していく。 また、収集したデータを分析し、専門の学会・研究会での発表及び学術誌への投稿を行う。
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