研究課題/領域番号 |
22K13106
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田中 雄 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (30802996)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 言語獲得 / 実験 / 言語の普遍性 / 苗字の連濁 / 母音調和 / 国際ジャーナル / 国際学会 / 言語獲得バイアス / パターンの複雑性 / 発音・聞き取りの困難さ / 日本語 / 世界の言語 / 心理言語学実験 / 実験音韻論 / 認知的複雑性 / 音声学的自然性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、言語の音声に関わる「言語獲得バイアス」を主題とする。言語獲得バイアスとは、ヒトが言語を身につける際に、特定の種類のパターンを好む傾向のことである。本研究では、大人や子どもを対象として、特に日本語の音声データを基にした心理言語学実験を実施することにより、言語獲得におけるバイアスの効果を検証する。また、結果の分析を踏まえ、言語獲得バイアスの効果を組み込んだ言語理論の提案を目指す。本研究課題は、ヒトの言語獲得過程についての理解を促進するだけでなく、日本語の音声の特徴を新たな視点から解明することから、学術的に大きな意義を持つ。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ヒトが言語を身につける際にある特定の種類のパターンを好む傾向を「言語獲得バイアス」の影響と解釈し、主に日本語やその他の言語の分析を通して、言語に普遍的な「言語獲得バイアス」の実態を明らかにすることである。 2023年度は、それ以前に実験調査によって収集していたデータの分析結果をまとめ、論文として執筆した。論文では、特に苗字の連濁(「ヤマ+タ」が「ヤマダ」になるような濁音化の現象)において、他の言語にも見られるような音の並び方の法則に従って、濁音化が発生する傾向にあることを指摘した。また、2020年度より遂行している日本語の語種に関する別の研究課題と関連させ、漢語についての実験調査を行い、その結果を学会にて発表した。発表では、モンゴル語やハンガリー語にも見られるような母音調和(同じ単語内での母音の種類が一致する現象)の法則に従って、日本語話者が漢語の母音の分布を決定していることを指摘した。これらの研究を通して、「言語獲得バイアス」の存在と、世界の言語に類似のパターンが見られるという「言語の普遍性」を示し、日本語のみならず言語一般の理解に貢献した。 本課題の支援を直接的ないし間接的に受けた2023年度中の実績(上記含む)は、査読付き国際ジャーナルでの出版論文2本(うち1本は2022年度に採択決定済みとして報告)、国際学会誌での出版論文4本(うち2本は近刊予定)、国際学会での口頭発表4件である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度および2023年度の2年間は、新型コロナウイルス感染症の影響によってそれ以前より延期していた別の研究課題を並行して遂行していたこともあり、本研究にも全体的に遅れが生じることとなった。期間を延長して最終年度となる2024年度は、本課題に集中して取り組み、研究を進捗させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施した大人の日本語話者を対象とする実験の結果を統計的・理論的に分析し、その内容をまとめた論文を執筆して、国際ジャーナルに投稿する予定である。また、言語獲得の専門家の協力のもとに子どもを対象とした実験も実施し、その内容を学会および論文にて発表する計画である。
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