研究課題/領域番号 |
22K13107
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
大宗 純 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00823204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 検索Σ / ボックス理論 / 極小主義統辞論 / 一致現象 / 束縛現象 / 併合 / wh移動 / 等位・付加構造 / コピー形成操作 / 等位構造 / 付加構造 / 生成文法理論 / シークエンス形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は最新の極小主義統辞論の理論的枠組みの下、The dog bit Bill and John.やThe dog bit Bill, John.のような等位構造や付加構造等のより簡潔な生成方法を考察するものである。現在の枠組みではこのような等位構造や付加構造等は通常の生成手順とは異なる複雑な方法で作られており、理論全体の複雑化を招いている。より簡潔な説明こそ真理に接近しているという科学一般の考え方に基づき、本研究では、その複雑な生成手順を可能な限り簡素化する。また、理論の簡潔化の達成を目指すだけでなくそれによって生じると予測される副次効果により、様々な言語現象の説明を試みる。
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研究実績の概要 |
2023年3月9, 11, 14, 16, 8日にTheoretical Linguistics at Keio-EMU(オンライン)にてNoam Chomskyを中心とした研究者による講演が行われた。この講演とそれと同時に公開されたChomskyの未出版論文(今後出版予定)により依拠する理論的枠組みに大きな変化が生じた。この新たな理論的枠組みはボックス理論(box theory)と呼ばれる。 このような状況の中、昨年度から引き続き等位構造・付加構造の真の統一的説明に向けて検索Σという操作に着目しながら研究を進めたが、複数の理論的問題に直面した。特に内部併合(Internal Merge)適用後の要素がその後の派生から「分離され」、位相(phase)主要部からのアクセスを除きそれ以上アクセスできなくなるという新たな派生の仕組みは私がこれまで行ってきた研究にも大きな影響を与えた。この新たな理論的枠組みは不明点が多く、さらに、Σが本枠組みでどのように機能しているのかという点について精査する必要が生じたため、今年度はその点に集中して研究を進めた。まずは本枠組みに至るまでの構造構築操作「併合」をもう一度以前の理論から見直す過程で書評を書いた(英文學研究 支部統合号 vol.XVI)。そして、日本言語学会第166回大会(2023年6月17, 18日)のワークショップと慶應言語学コロキアム(2023年9月9, 10日)での口頭発表で、新たな理論的枠組みであるボックス理論で不明な点を明らかにした上で、本枠組みでΣが一致や束縛において自然な形で機能している可能性を示した。言語現象としては、主に一致現象、wh移動現象、whの取り出し不可条件、束縛現象を説明するような発表となった。また、この研究発表の内容を発展させたものが書籍(2024年11月刊行予定)に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
依拠する理論的枠組みに大きな変更が生じた。基本的な統辞構造の派生の仕組みを見直す必要が生じたため当初予定していたよりも進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に入る直前にボックス理論と呼ばれる新たな理論的枠組みが提案され、極小主義理論の枠組みはますます発展を見せている。ただし、この新たな理論は不明点も多く、まずは基本的な派生の仕組みをその詳細まで明らかにすることが必要であったため、今年度はその点も含めて研究を進めた。今後、これらの研究成果は今後書籍で出版される予定である。今回明らかになった点を踏まえながら引き続き検索Σを通した等位構造・付加構造の真の統一的説明に向けて研究を進める。
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