研究課題/領域番号 |
22K13117
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
水谷 謙太 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (40878352)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 法助動詞 / 束縛的意味 / 対照主題 / 否定極性 / 段階形容詞 / 形式意味論 / 束縛的用法 / 焦点辞 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語の束縛的意味を表す法助動詞相当表現「ほうがいい」, 「てもいい」,「てはいけない」を対象とし,形式意味論の手法を用いてこれらの表現を「ほう」,「が」,「いい」などの構成要素に分解し, それぞれの構成要素の意味とその組み合わせ方から, 英語の法助動詞とは異なりこれらの表現がなぜ束縛的意味のみを表すのか, 「*てはいい」などの組み合わせがなぜ不可能であるかを明らかにすることを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的は, (i) 日本語の束縛的意味を表す複合的な法助動詞相当表現の意味を構成的に導出し, これらの表現が束縛的意味を表す理由を明らかにすること(例:「ほうがいい」, 「してもいい」,「してはいけない」 ), (ii) これらの表現の一部が否定極性を示す理由を明らかにすることである(例:「してはいけない」 vs.「*してはいい」) . 本年度は, (ii) の否定極性に関する分析を進めるための準備として,「てはいけない」に含まれる対照主題を表す「は」に着目した. まず, 「は」 がとりたて表現の「まで」と共起した際に生じる否定極性に関して分析を行った. そして, 「は」と「まで」が相反する前提を導入し, これらの前提を同時に満たすためには否定辞の存在が必要になることから, 否定極性が生じることを明らかにした. さらに, 「は」と「まで」が共起することによって生じる否定極性が, 通言語的に見て新たなタイプの否定極性であることを示した. 次に, 対照主題を表す「は」を含む, 段階形容詞の解釈に必要な比較基準を導入する表現である「ては」に着目した(例:「ジョッキーにしては,背が高い」). そして, この表現によって導入される比較基準や, この表現と共起する段階形容詞には一定の制限があることを明らかにし, この事実が対照主題の「は」によって導入される前提から生じる可能性があることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本語の束縛的意味を表す複合的な法助動詞相当表現の一部が否定極性を示す理由を明らかにするためには, 対照主題を表す「は」に関する理解が不可欠である. 本年度は束縛的意味を表す法助動詞相当表現とは異なる表現に「は」が生起し, 否定極性が生じる現象を重点的に扱った. そして, 「は」 が導入する尺度前提 (scalar presupposition)が重要な働きをすることを明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で得られた対照主題を表す「は」に関する知見を, 「は」を含む否定極性を示す束縛的意味を表す複合的な法助動詞相当表現に適用可能かどうかを検討する. また, 当該の法助動詞相当表現は条件を表す表現を含むため, この表現に関する研究を進める.
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