研究課題/領域番号 |
22K13122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
黄 海萍 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (80865543)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | チワン語 / 龍茗方言 / 文法記述 / 否定表現 / チワン語の漢字音 / アスペクト / 使役表現 / 受身表現 / 言語学 / 記述言語学 / 危機言語 / タイ・カダイ語族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国の少数言語であるチワン語(龍茗方言)の記述・分析を行うことを目的とする。本研究では、龍茗方言の文法を詳細かつ体系的に記述する。それと並行して、龍茗方言記述文法書、辞書、昔話の読本などを編纂・出版し、調査で得た龍茗方言の言語資源を整備し、音声付のデータベースを構築・公開する。さらに、特定の文法項目について、龍茗方言と周辺諸言語との比較・対照研究を進めることで、龍茗方言の特徴および言語類型地理上の位置付けを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は研究の2年度目にあたり、研究課題の遂行に必要な録音機やビデオカメラなどの備品を購入した。また、名詞句の構造、動詞句の構造、接続詞と複文構造、否定表現および数量表現などに関する各個別言語の専門書や通言語的類型研究の専門書などの参考図書を購入し、先行研究の分析を行った。 WeChatとSkypeを使ったオンライン調査に並行して、2024年2月には現地での面談調査を行いました。収集できたデータを元に、チワン語龍茗方言(以下、龍茗方言)の標準否定に関わる表現の分析を試みた。特に、龍茗方言の否定の手法と形式、複数の否定標識の使い分け、否定標識を用いた疑問文、否定禁止表現、否定のスコープなどを明らかにした。また、先行研究の検討を踏まえ、昨年度に分析した龍茗方言の受身表現についての論文を学術誌に投稿しており、年度内での刊行を目指している。 否定表現に関する論文1篇が学術誌に掲載された。また、日本漢字学会編『漢字文化事典』(丸善出版、2023年)において、「タイ・カダイ語族と漢字音・漢語音」項目を執筆した。2023年5月に東南アジア言語学会 (Southeast Asian Linguistics Society) 第32回大会で報告した使役表現の論文と数量表現に関する論文は公開に至らなかったが、2024年度内に学術誌に投稿予定である。 このほかの研究実績としては、チワン語北部方言地域にある広西チワン族自治区の田林県八桂方言地域で採録したチワン語の歌謡動画データに関する翻訳・解説の公開を行った。チワン語の歌謡動画の字幕は国際音声記号、標準チワン文、日本語で表記し、歌謡の言語的情報、韻律分析や文化的な情報に関する解説も付けて、一氾文学会の機関誌『半文』(https://litteraegenerales.net/bulletin-half/)にて3回にわたって連載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
WeChat、Skypeを使ったオンライン調査だけではなく、現地での言語調査行なうことができた。その結果、動詞句の構造、否定表現、名詞句の構および数量表現に関するデータは問題なく集められた。また、歌謡動画に関しても現地母語話者の協力により、実現することができた。
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今後の研究の推進方策 |
効率的なWeChatやSkypeを利用したオンライン調査を継続し、必要に応じて現地調査も行う。来年度は、授受のダイクシス、目的と手段、原因と結果などを明らかにし、一部の文法項目における龍茗方言と周辺諸方言の対照研究を行い、口頭や論文で成果を発表する。同時に、「龍茗方言の昔話」の刊行を目指し、「龍茗方言辞書」(初版)の執筆準備を進める方針である。
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