研究課題/領域番号 |
22K13128
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
森田 耕平 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (00804999)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 日本語 / 文法 / 動詞 / 中止形 / アスペクト / 時間関係 |
研究開始時の研究の概要 |
現代日本語の動詞には、「肉を{切って/切り}、皿にのせた」の「切って」「切り」のような「中止形」と呼ばれる多様な意味・機能を持つ述語形式が存在する。本研究の目的は、動詞の中止形の多様な意味・機能を、実際の使用例の観察による帰納的な分析を通じて、形式的特徴を明示しながら体系的・法則的に記述することである。名詞項との関係による文の構造の整理や、他の品詞による副次的な成分との相違、中止形と類似する意味・機能を持つ形式との比較といったアプローチによって、動詞の中止形に関する興味深い言語現象を適示したうえで、そこから見出される意味・機能の特性と体系性を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に交付申請書に記載した「本研究の目的」のうち③「中止形に所属する複数の形式を比較し、それらの意味・機能の重なりと異なりを明らかにし、中止形諸形式がなす体系を記述する」ことを達成するため、動詞の第二中止形(「シテ」)と「シテカラ」の使い分けに関する比較分析を試みた。その結果を、下記の論文に発表した。 ・森田耕平(2024)「シテとシテカラが表す意味の比較―出来事の継起的関係を表す場合に注目して―」『言語文化学研究』19, pp.17-49,大阪公立大学現代システム科学研究科 現代システム科学専攻言語文化学分野. 上記論文では、先行研究に基づいて分析のための構文的条件を整理したうえで、会話コーパス(日本語日常会話コーパス)で収集した実例をデータとして、継起的な出来事を表す文におけるシテとシテカラの言い換えを中心に、両形式が表す意味の異なりを記述した。分析のための構文的条件としては、特に両形式が表す出来事の因果関係に注目し、従来分析されてきた時間関係と表裏一体の関係として捉え直すことで、両形式の意味の共通点と相違点をを記述した。加えて、シテ特有の意味的な特徴とその動詞のタイプごとの場リエーションも特定した。 このことにより、両形式は、単に継起的な出来事を表す類義形式なのではなく、ある因果関係のあり方によって、ある場合には共通の意味的関係を表し、ある場合には別の意味的関係を表現するという、基本的な事実が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】の通り、「本研究の目的」の一部を論文化して発表することができたため。また、次の研究テーマに関しても予定通り準備を進められているため。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度における研究の推進方策は以下の通りである。 (1)交付申請書に記載した「研究の目的」のうち②「動詞の中止形と、他の品詞による副次的な成分との比較において、動詞による成分として中止形がもつ文法的特性を明らかにする」ことを達成するため、動詞の第二中止形(「シテ」)とデ格名詞の比較を行う。そのため、先行研究および分析枠組みの設定、また実例の収集と分析を行なう。
|