研究課題/領域番号 |
22K13136
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
浅井 良策 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (30909106)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 結果構文 / 結果句 / 百科事典的知識 / 様態と結果 / 間接使役関係 / 意味フレーム / 多義性 / 間接使役 / 動詞の記述性 / フレーム意味論 |
研究開始時の研究の概要 |
英語には、一種の使役関係を表す文タイプとして特徴付けられる結果構文が存在する。結果構文は「直接使役関係」だけでなく「間接的使役関係」も表すことが可能であり、また同一の文形式が文脈によって様々な意味解釈が可能となることがある。本研究では、これらの意味的表現範囲の多様性を捉えるためには、文の構成要素である動詞の意味情報だけでなく結果句の意味情報に関しても従来の見方より重要視する必要があることを実証していく。その際、結果句がそれと共起する動詞や文全体の意味解釈にどのような影響を与えているのかそのメカニズムについて調査する。
|
研究実績の概要 |
最終年度においては、結果句の意味特性に着目することで、Rappaport HovavとLevinらが提唱する様態動詞と結果動詞の区分や結果構文がコード化する使役状況のタイプについて新たな分析の視点が得られることを示した。 to silenceとinto silenceは、様態動詞と結果動詞の両者と共起可能であるが、COCAコーパス調査の結果、into silenceはto silenceと比較して、結果動詞(特に使役心理的変化を表すもの)と共起する割合が圧倒的に高いことが判明した(304例中267例)。また、beat, batterのような様態動詞やintimidate, bullyのような結果動詞はto silenceではなくinto silenceとしか共起できないことが分かった。これらのことから、結果構文に生起する動詞に対する「様態」や「結果」という意味解釈は、結果句の構成要素である名詞(silence)の多義性及び前置詞(to, into)の概念的意味などとの整合性に基づき派生的にもたらされ得るということを主張した。尚、本内容の論文が2025年刊行予定の『語彙意味論の広がりと深まり』(仮題)に所収されることになっている。 また、結果構文は「直接使役関係」を表さなければならないとされていたが、PP結果句を伴うタイプの中に「間接使役関係」をコード化する事例が観察されることを指摘した。そして、それらの事例の多くを識別することが可能となる点においてここでも結果句の意味特性を参照することの有用性が確認された。例えば、out of a jobやinto a jobによって喚起される百科事典的知識から「使役主と被使役者間の因果連鎖に介在使役者が関与するタイプ」や「結果事象の実現に関して被使役者が自律性を示すタイプ」の成立が動機付けられるのである。
|