研究課題/領域番号 |
22K13149
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
祝 利 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (00759417)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中国語教育 / 教科書 / 日本視察旅行 / 満洲国中央師道訓練所 / 教員養成 / 「満洲国」 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本語教育史の観点から、教育政策側と教員側の双方より、統計資料及び満洲国教育関係者による手記や回想録についての分析を通して、「満洲国」(以下、満洲国)における日本人教員の養成の実態を通時的に考察し、その上で、植民地朝鮮・台湾との比較分析を通して、満洲国における日本人教員養成の特徴を検討する。本研究の研究方法としては、主に史・資料についての分析を中心とするが、その上で、可能な限り、満洲国で養成された日本人教員及び当時の教育関係者に対するインタビュー調査を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は「満洲国」(以下、満洲国)における日本人教員養成の実態を分析し、その特徴を探ることである。この研究目的を達成するには、本年度においては、主に(1)日本人教員に対する中国語教育についての考察と、(2)国内・外での史・資料の調査・収集を行った。 (1)日本人教員に対する中国語教育についての考察は、主に中央師道訓練所て必須科目として実施された中国語科目の参考書『官署用会話讀本[満洲語篇]注釈書』を取り上げ、その内容構成、語彙使用、文法解釈などについて分析を通して、中央師道訓練所における日本人に対する中国語教育の特徴を考察した。これにより、これまで十分解明されていない日本人教員に対する中国語教育の実態の一端を明らかにした。(2)国内・外での史・資料の調査・収集については、①国内においては、主に1930年代に大同学院によって実施された日本視察旅行に関する史料の調査・収集を行った。満洲国時代、修学旅行が各種教育の中、重要な教育活動として実施されていた。大同学院は満洲国エリート教育の最高機関であり、師範教育などを統括する機関でもあった。大同学院での教育活動の解明は、満洲国教育実態の解明には極めて重要である。国内の大学図書館を訪問し、日本で保存されている大同学院に関する史料を閲覧し、収集した。現在、史料を分析し、論文を作成する途中である。②海外においては、主に中国東北地域の大連市と長春市の公共図書館で満洲国に関する史・資料の調査・収集を行った。『偽満洲国史料』(全30巻)のような資料集の存在、『満州教育』などの雑誌集の新しく出版、また、近年、中国側の満洲国に関する研究は、歴史、経済などの分野だけでなく、記述歴史や戦争体験などの面においても、進展していることが分かった。今後、満洲国に関する研究を進める際、常に中国側の最新の研究状況を把握しなければならないのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度の主な計画と目標は、①日本人教員養成に関する史・資料の調査・収集と、②史・資料についての分析の2つである。しかし、史・資料の収集にはやや時間がかり、史・資料についての分析は少し遅れている状態にある。その理由としては、以下の2点があげられる。①中国側に数多くの研究成果がある。2023年5月8日より日本では新型コロナが5類に移行され、行動制限は行われなくなった。同年10月、在外中国人の中国への出入国も制限なく自由にできるようになった。中国での史・資料調査と収集が実現できた。実際の現地調査を通して、近年、中国側の満洲国研究分野では、数多くの研究成果が現れ、著書や学術論文などが相次いで出版されていることが分かった。これらの資料の収集には時間がかかる。②日本視察旅行という新しい課題についての史料調査・収集を行った。昨年度、日本国内の大学図書館で日本人教員に関する史料を収集した時、偶然、1938年に大同学院により実施された日本視察旅行の報告書という一次史料を発見した。大同学院は満洲国教育体系の中、最上位に位置し、満洲国の師範教育などを統括していた。大同学院での教育活動についての考察は、満洲国教育実態の解明には重要な意味がある。したがって、本年度においても、大同学院の日本視察旅行に関する史料の調査・収集を行い、それらの史料についての分析を行った。それゆえ、日本人教員の養成についての分析の進み具合はやや遅れているのである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、主にこれまで日本国内・外から収集してきた史・資料についての分析を中心に進めていく。そこから得た研究成果を論文にまとめる。特に、新しく発見し、収集してきた大同学院の日本視察旅行に関する史料については、さらに詳細な分析を行い、満洲国の大同学院が実施した日本視察旅行の意味、また大同学院の教育活動と満洲国の日本人教員養成との関連性を明らかにする。
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