研究課題/領域番号 |
22K13165
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
斎藤 裕紀恵 中央大学, 国際情報学部, 教授 (50719903)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | Virtual Reality / 海外留学 / 外国語不安 / スピーキング / 英語スピーキング力 / 内的動機 |
研究開始時の研究の概要 |
VR利用に関する言語教育の研究では内発的動機付け、異文化意識の向上、感情フィルターの低減 (Schiwinhorst, 2020)、文化理解の促進(Hu-Au and Lee, 2017)、単語学習の効果(Gupta、2015)の可能性が示されている。本研究の目的はこれまであまり研究が進んでいない海外留学前の英語授業にVR利用して、その効果を検証することである。具体的には本研究ではVRを使った海外留学前の英語授業が、学生のスピーキング向上に繋がるか、外国語不安を低減するか、学生の留学また英語学習への内発的動機の向上に繋がるかを調査する
|
研究実績の概要 |
本研究では、海外留学前の英語授業におけるVR(仮想現実)の活用効果を検証することを目的としている。この研究テーマは、これまでに十分に調査されておらず、特にVRを用いた授業が学生のスピーキング能力、留学や英語学習への内発的動機付けをどの程度高めるか、また外国語不安をどの程度軽減するかを探ることが主眼である。VR技術の教育への応用は、言語学習の文脈で特に注目されており、本研究はその有効性を検証することを試みる。この研究の一環として、さまざまな国際会議で発表を行った。Pan SIG 2023では「Exploring the Potential of Metaverse and ChatGPT in English Language Teaching and Learning」、KOTESOL 2023では「Exploring Students' Perceptions of English Language Learning through Virtual Reality and its Impact on Speaking Proficiency」、TESOL 2024では「Effectiveness of High- and Low-Immersion Virtual Reality for Teaching English」の発表を行った。これらの発表は、VRという新しい技術が言語教育においてどのような役割を果たすかを広く共有することを目的としている。またKOTESOL Proceedings 2023に「High- and Low-Immersion VR Effects on Students' Speaking and Anxiety」という論文が掲載された。本論文でVRが学生のスピーキングスキルと不安感に与える具体的な影響を分析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は2年目に入り、その目的はVRを活用した英語授業が留学前の学生のスピーキング能力および外国語不安に及ぼす影響を明らかにすることである。実験群ではVRを使用した留学前準備の英語授業が行われ、対照群では従来の面接形式の英語授業が行われる計画であった。しかし、対照群への参加希望者が集まらず、結果として実験群のみで研究を進行することになった。さらに、研究では外国語不安に焦点を当てたアンケートを実施し、そのデータのみを収集することが可能であった。元々は、プレTOEIC Speaking TestとポストTOEIC Speaking Testを用いて、VR授業の効果を定量的に評価する計画であったが、TOEIC Speakingがビジネス向けのテストとして設計されているため、学生の日常会話能力や留学前の準備としての適用性に問題があると判断された。このため、より適切なスピーキングテストを探索することになり、その結果、本年度はVersant Speaking Testに変更することを決定した。Versant Speaking Testは、より広範な言語能力を測定することができるため、本研究内容と合致するものと考えられる。変更点を反映した上で、2年目の研究計画を本年度、実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、海外留学前の事前授業を通じてVR(仮想現実)を活用する効果を検証することを目的としている。昨年度は、対面授業への参加希望者が不足したため実験群のみでの実施となり、計画に変更が必要であることが明らかになった。今年度の推進方策として、次の点を計画している。実験デザインの変更として、対照群と実験群の設定を見直し、対照群ではPCを使用して、実験群ではHead Mount Displayを使用したVR授業をそれぞれ実施して、学生には自宅で受けてもらう。これにより、学生の参加の利便性を高め、より多くのデータを収集することが可能になると考えられる。評価方法の調整として、両群において、VR授業の前後で当初予定をしていたTOEIC Speaking Testの代替としてVersant Speaking Testを実施し、外国語不安と内的動機に関するアンケート調査を行う。さらに、学生が一カ月の海外留学を経た後に再度同様の評価を行うことで、VR授業の長期的な効果を検証する。課題への対応策として、昨年度の経験を踏まえ、学生のスケジュール調整の難しさに対処するため、オンラインでの参加が可能な設計に変更する。これにより、学生が自宅でも授業に参加できるようにし、参加率の向上を図る。
|