研究課題/領域番号 |
22K13171
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
単 艾テイ 西南学院大学, 国際文化学部, 助教 (70833820)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 読書活動 / 四技能 / オーセンティックテクスト / 流水文 / 翻訳 / ブックレポート活動 / Show & Tell活動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「読書活動」と「コミュニケーション活動」を統合した中国語教育のモデルカリキュラムを作成し、多角的な実践研究を通してその教育効果を対照実験によって検証した上で、体系的な教授法理論の構築を目指す。本研究は、総合的な言語運用能力に加え、加速するグローバル化の中で益々その重要性が高まる異文化理解能力も備えた中国語学習者の育成に大きく貢献すると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は①「読書活動とコミュニケーション活動の統合による中国語授業」のモデルカリキュラム開発と教育効果の検証、②新たな中国語教授法理論「読書活動を基軸とする内容言語統合型学習」構築の二点である。 まず、前年度の『中国 ことばの世界を旅する』(単2022)を用いた授業実践を題材に、「四技能の有機的連携を目指したオーセンティック中国語学習」というタイトルで『東アジア言語文化研究』にて論文報告した。ここではテキストの設計方針と授業での具体的な指導方法について紹介し、質問紙調査を通して観察される学習者の反応と、そこから得られる示唆について報告した。 次に中級クラスにおいて、中国で出版されているオーセンティックテクストを題材とした教材制作と授業実践を行った。この授業の前半では中国語で書かれた「他者による旅の記録」を読み解き、後半では「自分自身の旅」を想像しながらロールプレイに取り組むという教授方法を採用した。自作した教材は次年度に教科書として出版予定である。 また本研究に関連し、日中対照研究と翻訳理論の観点からの議論をより深化させるため、2つの基礎研究を行った。一つ目は、中国語特有の長い一文「流水文」について「翻訳等価性を視点とした流水文に関する一考察」というタイトルでの研究報告を行った。ここでは小説中の中国語流水文が日本語に翻訳される際、いかなる処理がなされているのかについての分析結果を報告した。二つ目は、中国語テクストから日本語テクストへの翻訳に関して「学習者が如何なる箇所で困難さを感じるか」「その原因は何か」「翻訳の難易度はどの程度か」の3点に対する示唆を得ることを目的として、筆者自身が翻訳講座に参加した際のデータを基に、SFL理論を主な視点として自身の産出物に対する分析と考察を行い、東アジア言語文化学会と『西南学院大学言語教育センター紀要』にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初級に関しては、本年度中に授業内活動を実施することができなかったが、中級と上級に関しては、ほぼ当初計画通り、授業実践を進行させることができ、研究データも取得することができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては、引き続き申請書に提出した計画を進める予定である。上級クラスにおいては、引き続き自作教科書『中国 ことばの世界を旅する』を用いて授業を行う。 目標:①中国語の物語文を正しく深く読解ができること、②中国語で「書評」ができること、③中国語を介した物語世界の読解を通して、他者理解を行うためのスキルを身につけることができること、の三項目に対してどの程度有効であるか明らかにする。 内容:(1)中国語の短編小説[申請者の自作教科書『中国 ことばの世界を旅する』(朝日出版社2022)]における文構造と文法に着目した精読、物語内容に関する解釈・ディスカッション、(2)同小説中の表現を導入した産出練習及び物語内容に関連したパーソナルリーディング、(3)母語で読んだ書籍を題材としたブックレポート活動の実施。 また、本年度は中級クラスにおいては、中国国内で実際に出版されている旅行ガイドブック『100個地方暢游通』(王全民2017)を素材とした授業プリントを用いて進める。 目標:①中国語の説明文・論説文が読めること、②長文のテクストや談話の産出ができること、③中国語圏に対する人文地理的な視点や関心を持つこと、の三項目に対してどの程度有効であるか明らかにする。 内容:(1)旅行会話を対話形式でパターン練習、(2)説明文・論説文(中国語圏のホテル予約サイトや旅行雑誌)の論理構造や書き手の意図の理解・解釈、(3)協働学習による「中国語圏の一地域の文化紹介」のコンテンツの作成・発表。
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