研究課題/領域番号 |
22K13184
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石野 未架 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (20822836)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 英語ディスカッション / 会話分析 / 発言順番取得 / 応用会話分析 / 英語教育 / 相互行為 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は他者との関わりのなかで「いつ」「いかに」言語知識を用いるのか、その方法は通常明示的に意識することはなく、暗黙的に「いつ」「いかに」を選択して用いられている。人々が用いるこのような暗黙の方法を社会学では「相互行為の方法」(Sacks,1984)と定義している。本研究では、この「相互行為の方法」という視座から英語によるディスカッションを分析し、英語ディスカッションのなかでそれぞれの話者が意見を述べる適切なタイミングを明らかにしようとするものである。そしてその方法を英語学習者に明示的に指導し、意見を述べ合う技術を獲得させる方法を開発するというのが本研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、会話分析を用いて英語ディスカッションで意見を述べるための適切なタイミングを解明し、英語ディスカッションの指導法を開発することであった。この目的を達成させるために当初の計画では次の小研究課題を設定していた。第一に、英語ディスカッションの会話構造を明らかにすること。第二に、意見を述べるタイミングを掴む方法を解明すること。そして第三に解明したこれらの知見を基に英語ディスカッション指導法を開発し、研究協力校にて効果の検証を行うことである。 これらをふまえて、令和4年度に主に行った活動は、第一の分析に必要なデータの収集と整理であった。予備的な分析に得られら実績は、英語によるディスカッションの相互行為の構造と構造の構成に関わる発話デザインの一部が明らかになった点である。しかしこれらの知見はまだ学会発表に至っておらず、2023年度の学会発表におけるフィードバックをもとに論文にまとめて学術誌に投稿する予定である。また、対面による英語ディスカッションに加えて、ズームによるオンライン授業で得られた英語によるディスカッションデータについても試験的な分析を行っている。この分析ではオンライン環境のディスカッション場面における発言順番の取得と分配に関わる分析結果を得ている。この結果は萌芽的な論考とし論文にまとめ、国内研究大学の紀要論文に投稿しており、2023年度内に公開される予定である。したがって研究実績として公開できるものは現時点では少ないが、第一の小研究課題のおおむね60%程度が達成された状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までは、分析に必要なデータの収集と整理を主に行ってきた。具体的に収集整理したデータは、米国の大学院で収集した約50時間分の英語ディスカッションの録音データと、国内の英語ディスカッションの授業場面の録画データである。これら現時点までで収集しているデータの一部について予備的な分析を進め、その結果の一部は2022年9月にスペインで開催さた国際学会のInteractional Competences and Practices in a Second Language に受理されていたが、所属先の公務と重なったため発表を辞退している。新たな発表先として2023年度11月に国内で開催される国際学会に応募し、現在結果を待っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で明らかになっている研究遂行上の課題は、データの収集方法に関する課題である。具体的には研究用データの収集において音声の質に問題が生じており、一部のデータは分析に十分な音質を確保できていない。今後の推進方策としては、データ収集に関する機器などを研究費により整備し、データ収集作業の体制を整えることで対応していく計画である。加えて、英語日母語話者による活発なディスカッション場面というものの収集の難しさにも直面している。具体的には、日本の英語学習者同士による活発な英語議論自体が難しく、観察データとして収集し得ないという可能性である。このため、よりディスカッションの場面が観察され売るヨーロッパや米国における高等教育機関の非英語母語話者によるディスカッション場面を分析のベースとすることも検討している。今後、国際学会等で海外の研究協力者を探し、北欧などの高等教育機関で非英語母語話者による英語ディスカッション場面のデータ収集が可能となるよう動いていく計画である。
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