研究課題/領域番号 |
22K13188
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高垣 里衣 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (90908039)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 経済史 / 商業史 / スペイン帝国 / 海域史 / 世界史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、18世紀~19世紀前半の世界史において、ローカルな商人が、帝国内あるいは帝国の枠組みを超えて世界経済にどのように関わったのかを明らかにするために、スペインのバスク地方ギプスコア県の商人が主として運営に関与した王立フィリピン会社を考察対象として検討するものである。第一に、会社によるバスク、スペイン各地の港、カラカス、マニラとの貿易の構造を、取引商品・量の視点から明らかにする。第二に、商人文書を検討し、運営に参加していた人々の出自・階層を明らかにする。第三に、商人たちが行っていたであろう会社以外での商取引を、ヨーロッパ・大西洋世界だけでなくアジア太平洋地域も含めて明らかにする。
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研究実績の概要 |
2年目にあたる2023年度は、王立フィリピン会社の活動に関与したギプスコア商人について検討するために、スペイン・インディアス総文書館において史料調査を行い、株主リストや評議会にかんする分析を行った。くわえて、フィリピン国立公文書館において、アジア産品がマニラとカビテに、どのように商品が集まってきたかを部分的に調査した。 また、2023年度九州西洋史学会春季大会シンポジウム「水産資源利用の歴史的諸相:中近世ヨーロッパ史の視点から」において、「近世スペイン・バスクにおける水産資源の変動と経済活動の変化」と題した研究報告を行なった。本報告の内容は、2024年3月に特集論文として『西洋史学論集』 に掲載された。 2023年6月には、日本ラテンアメリカ学会第44回定期大会において「近世末期におけるバスク系商人ネットワークの拡大と機能」という報告を行った。この報告は、1年目の研究成果を含むものである。18世紀後半のスペイン帝国の植民地貿易改革におけるバスク系商人の重要性を明示するとともに、バスク系商人のリマにおける対立を明らかにすることで、地域間対立がラテンアメリカ植民地に持ち込まれたことや、バスク系商人が「帝国」という一種の公共財を活用し利益を獲得しようとしたことを提起した。 ほかに、学術論文「近世末期のビルバオ港とアジア産品の獲得」が『新潟大学経済論集』に掲載された。 このような活動と研究成果を踏まえて、最終年度である2024年度には国際学会での発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 昨年度より継続して、インディアス総文書館で、王立フィリピン会社の貿易記録史料を調査した。この調査では、会社の貿易支出記録や運営評議会の議事録を確認することができた。 2. フィリピン国立公文書館における史料調査を行い、王立フィリピン会社がマニラやカビテから他地域に輸出した商品がどこから来たのかを部分的に明らかにした。 3. 王立フィリピン会社が活動した場所でも、特に海域アジアにおける先行研究調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、以下の通りに研究を進める予定である。 1. 2年目までの研究成果の一部を、2024年8月に開催される第9回国際海事史学会で発表する。また、英語での研究成果発表を目指す。 2. 引き続き、インディアス総文書館で収集してきた史料を読み込むとともに、王立フィリピン会社とバスクをスペイン帝国史のみならず、世界経済史に位置づけるために先行研究整理を行う。
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