研究課題/領域番号 |
22K13189
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古川 祐貴 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (00784860)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 対馬宗家文書 / 売立 / 朝鮮史編修会 / 日韓会談 / 島外流出事件 / 日韓図書協定 / 研究資源化 / 売立目録 |
研究開始時の研究の概要 |
前近代の大名家や公家が有した資料(什物や古文書など)の伝来に関する研究は、戦前に焦点を当てたものが多く、戦後、すなわち現代とどのようにつながっているのかが分からないものが多い。資料自体も散逸し、研究できない状況にあるからだと考えられるが、対馬宗家文書はその変遷の複雑さから関連する資料も多く、また幸運なことに資料そのものが残されいる場合が多い。本研究では対馬宗家文書をモデルケースとして、前近代の大名家や公家らが有した資料(什物や古文書など)がいかにして現代に伝わってきたのかを明らかにするものである。またこうした作業を通じて、宗家文書自体の研究資源化を図っていくことも目的としている。
|
研究実績の概要 |
江戸時代の対馬宗家が作成・管理した対馬宗家文書のうち、初年度の研究課題は「売立」(1910年代)に関するものである。過去の研究において旧華族らは大正5年(1916)から昭和16年(1941)までに毎年100回程度の「売立」を行っていたことが知られている。これらの「売立」は「売立目録」としてまとめられることが多く、その原本が東京文化財研究所などに保管されている。近年ではこれらの「売立目録」を網羅した書籍(都守淳夫『売立目録の書誌と全国所在一覧』〔勉誠出版、2001年〕など)やデータベースも開発され、容易に「売立目録」が検索できるようなった。 しかし、対馬宗家文書が「売立」られた事実を「売立目録」から追究することはできなかった。書籍やデータベースで検索するだけでなく、東京文化財研究所へ出張して現地調査も行ったが、対馬宗家文書の「売立」に関する「売立目録」を発見することはできなかったのである。このことは対馬宗家文書の「売立」がなされなかったことを意味するわけではない。恐らく「売立目録」は美術工芸品の「売立」の際に作成され、古文書のような歴史資料の「売立」のときには作成されなかった可能性がある。では古文書のような歴史資料の「売立」はどのようにしてなされていたのであろうか。 ここで注目したのが、古書店の回顧録である。店主が明治・大正・昭和期の古書業界を語ったものであり、その中に古文書「売立」の事実を認めることができる。対馬宗家文書の「売立」に関しても数件確認することができた。これらをまとめて、「江戸藩邸由来対馬宗家文書の伝来――明治・大正期における養玉院保管分の売立・売却――」と題した報告を、弘前大学國史研究会令和4年度大会で行った。報告原稿は論文としてまとめ、今後発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究課題に関して、学会報告を行い、それに基づく論文作成ができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
対馬宗家文書に関して、①「売立」(1910年代)、②朝鮮総督府朝鮮史編修会への売却(1926年)、③日韓会談(1965年)、④島外流出事件(1993年)、⑤日韓図書協定(2011年)といった契機を見出し、計5ヶ年で研究を遂行する。令和5年(2023)度は②の課題に取り組む予定である。
|