研究課題/領域番号 |
22K13201
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
堀 智博 東京都立大学, 大学教育センター, 特任助教 (40898053)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 大坂落人 / 赦免令 / 大坂の陣 / 戦功覚書 / 赦免 / 落人 / 日本近世史 / 幕藩関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大坂の陣後に幕府が実施した平和政策のうち、大坂落人(豊臣方敗残兵)の赦免令について関連史料の収集・分析を行い、発令の経緯と、近世社会に与えた影響を解明する。以下3点に留意する。 1.法令の布達範囲と伝達経路の確定。 2.時期的変遷の考慮。赦免令は慶長20(1615)年の大坂落城から元和9(1623)年まで複数回発令されている。この間家康から秀忠、家光へと徳川将軍の代替わりが行われたように、政治・社会情勢が大きく変化した。これに応じた発令意図・適用範囲の改変を見極める。 3.発令の影響を広い視野で考察。赦免対象の落人に限らず、大名や民衆が赦免令をどのように受け止めたのかも研究の射程に収める。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、大坂の陣後に幕府が実施した平和政策のうち、大坂落人(豊臣方敗残兵)の赦免令について関連史料の収集・分析を行い、発令の経緯と、近世社会に与えた影響を解明するものである。 初年度は、落人の赦免令が伝達された(もしくは、その可能性が高い)盛岡南部家(もりおか歴史文化館)・金沢前田家(金沢市立玉川図書館近世史料館)・岡山池田家(早稲田大学図書館所蔵池田家文庫マイクロフィルム)・萩毛利家(山口県文書館)・福岡黒田家(福岡県立図書館)といった外様の大身大名家の文書群をまずは主要な分析対象に設定し、赦免令とそれに関連する史料の調査・撮影を行った。その結果、(1)政権内部においてどのような話合いを経て赦免が決定したか、(2)赦免令に対する大名側の反応、の2点について新たな知見を得ることが出来た。この詳細は次年度以降論文の形で公表する。 合わせて、大坂の陣に関わる戦功覚書・軍記の調査も行った。その中でも大坂落人北川次郎兵衛が晩年に記したとされる『北川覚書』は、落人が終戦後いかなる境遇にあったのかをうかがうことが出来る点で注目される。同書は各地に書写本があり、それぞれ脱漏・本文異同がある。そこで、書写本の全体像を把握すべく、国書総目録データベースをもとに各所蔵先を抽出し、今年度はそのうち八戸市立図書館・金沢大学図書館・津山郷土博物館・国文学研究資料館の所蔵本の調査を実施した。その他所蔵館の書写本については紙焼き・デジタルデータを取り寄せた。全ての書写本を入手するには至ってはいないが、善本の全文翻刻および系統分類に着手している。これら作業成果についても、次年度以降史料紹介の形で公表する。 その他上記調査成果をもとに、第21回日本ウーマンズヘルス学会学術集会にて、「豊臣家の女性たち、その立場と役割」と題した研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の課題の一つとして、大坂落人関係史料(落人捕縛令・赦免令・赦免嘆願書・戦功覚書・大名家への雇用書類など)を収集の上、Wordテキスト化および史料情報を内容ごとに分類してエクセル・シートに入力することを目標として掲げている。しかし、調査の結果、予想以上に史料が豊富で、その解読に時間を要しており、当初の予定通りには必ずしも進んでいない。計画を遂行し、ほかの研究者の利用に早期に供するためにも、全体の把握が急務と考え、次年度以降、まずは史料情報の一覧表を優先して完成させる方向に計画を修正したい。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は前年度に引き続き、赦免令の伝達対象であった外様の大身大名家の文書群の調査をまずは実施する。具体的には、仙台市博物館、秋田県文書館、富山県公文書館、尊経閣文庫、岩国徴古館、鳥取県立博物館、高知城博物館、徳島城博物館、永青文庫、黎明館における調査を予定している。 その他の調査対象先として、赦免令に関わる重要史料『北川覚書』の書写本の所蔵先である宮内庁書陵部、慶應義塾大学図書館、筑波大学図書館、京都大学図書館、内藤記念くすり博物館を予定している。 前年度の調査で得られた知見を論稿化し、学術雑誌に随時投稿する。 収集した大坂落人関係史料は、まずはエクセル・シートを利用して史料情報の一覧表として完成させることを優先する。収集史料のうち『北川覚書』など、特に注目すべき内容を持つ史料は、全文翻刻の上、史料解説を付記して学術雑誌に公表する。
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