研究課題/領域番号 |
22K13203
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 新潟大学 (2023) 札幌国際大学 (2022) |
研究代表者 |
篠崎 敦史 新潟大学, 人文社会科学系, 講師 (90786899)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 遣唐使 / 海商 / 日宋貿易 / 香木 / 長谷寺験記 / 巡礼僧 / 唐 / 日本古代史 / 東アジア / 宮廷儀礼 / 生活文化 / 香薬 / 唐王朝 / グローバルヒストリー / 文化交流史 |
研究開始時の研究の概要 |
古代日本国家が東アジアの影響を受けて形成した文化は、宮廷儀礼(年中行事、仏教儀礼)や生活文化(医療、薫物)など、広範囲にわたる。一方でこれらの形成・維持に東アジアとの交流が不可欠なものであったことは議論の前提として共有されながらも、日本列島の地域的特質と限界、東アジア国際環境の変化の影響などについてはいまだ明らかになっているとはいいがたい。特に日本列島では入手出来ない品々については手薄である。これらの入手、消費に東アジア情勢の変化はどのように影響したのか。 以上の視座から、本研究は7~12世紀の東アジア国際交流史の中に古代日本の宮廷儀礼・生活文化の構造とその変容を位置づけることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、7~12世紀の日本の宮廷儀礼・生活文化が、どのような面で東アジアと不可分(あるいはその逆)で、また、いかなる部分で東アジアの国際情勢の変化を受けたのかについて明らかにすることにある。本年度は、これまでの作業をふまえ、東アジアにおける交流環境の構造とそこにおける日本文化の特質についての調査と考察を行った。以上の成果を、①学会報告を1回、②論文として公表(査読論文含む)という形でまとめた。また、文献の内容と深くかかわる史跡などの実地調査も行った。 ①については、2024年2月2日に「遣唐使から海商へ」というタイトルで実施した。当該報告において、唐朝の対外交易規制の全容とその実態面について考察を行い、これを通じて、古代日本が遣唐使や海商を介して受容した東アジアの産物について、その入手環境の構造的把握を目指した。②については、 主に「唐朝の対外交易規制と香木―『長谷寺験記』の香木輸出規制説話をめぐって―」として公表をした。当該論文において、従来、唐朝の規制が想定されていた香木や香薬などについて、中国が対外交易規制をかけていた痕跡がなく、規制の存在を想定する必要がないことを示した。その上で、古代日本において東南アジアで産出される白檀などを素材とする仏像が少ないことについて、従来はその入手が困難であったことが想定されていた点に関して、それほど入手が難しかった環境とは言い難く、古代日本の意識的選択が造仏事業に反映している可能性が高いとの見通しを示した。これは、仏教美術史とも接合する成果と考えている。このほか、平安時代の国際交流の中核である僧と海商との関係性についても検討を行い、これを通じて、当該期日本の東アジア文物受容の背景の一端を明らかにする基礎作業とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初及び、本年度開始時に予定していた作業、成果発表などは概ね順調に実施出来た。また、必要な史料、文献収集なども問題なく実施出来た。ただし、研究代表者の所属研究機関変更にともない、一部の予定を研究に支障のない範囲で延期をした。そのため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、残りの研究期間をふまえた調査、成果発表を計画的に行う。次年度の作業として、①五代十国・宋王朝の時期の東アジア海域交流環境の構造の復元と、そこにおける日本の歴史的位置付けの深化、②日本が東アジアから入手する産物の全容を整理し、そこから日本と東アジアの関係性及び日本の意識的選択と思われる部分を精緻化することを目指す。また、あわせて、学会発表と論文執筆を通じてその成果を社会に還元し、研究最終年に向けた基礎作業とする。
|