研究課題/領域番号 |
22K13208
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
松本 智也 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (20897110)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 日朝関係 / 寛政異学の禁 / 通信使 / 対馬藩 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、朝鮮通信使の迎接に際して儀礼空間の諸要素がどのように議論されてきたのかを考察することを通して、日朝関係の近世から近代への転換の背景について見直す。対象として主に1764年度通信使、1811年度通信使、1840年代以降の通信使迎接計画を取り上げる。また寛政異学の禁(1790年)により朱子学が日本社会に広く浸透するようになったが、朱子学を国是とする朝鮮に相対するときにそれがどのように反映されたのかにも留意する。もって18世紀から19世紀にかけての日朝関係・通信使をめぐる連続面と断絶面をより具体的に見極めつつ検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は近世後期の日本でなされた朝鮮通信使の迎接に際しての儀礼空間(国書の様式、諱、拝礼、衣冠、筆談唱和等)をめぐる議論を検討し、それを通して日朝関係の近世から近代への転換について見直す視座を提示することを目標としている。本年度は研究成果の一部を単著の公刊および学会報告というかたちで発表した。また前年度に引き続き基本資料の収集・調査などを行った。 研究発表:①単著『〈文事〉をめぐる日朝関係史――近世後期の通信使外交と対馬藩』(春風社)を刊行した(7月)。近世後期の日本では「寛政異学の禁」を経て武士層に儒学・朱子学が普及していき、最後の通信使(1811年)に対峙した日本側使節はそれを背景として朝鮮と対等に対峙することができていた点などを指摘した。②広島史学研究会大会にて「宝暦度通信使と幕府儒官との交流――朱子学普及の動向を視野に」と題して報告を行った(10月29日)。前年に立てた見通しにしたがい、1764年度通信使迎接に際しての江戸幕府儒者の対応を検討した。「寛政異学の禁」を推進する中心人物である柴野栗山の当該通信使との接触が判明した。 史料の収集・調査:①大谷大学図書館にて、国史編纂委員会、慶應義塾大学所蔵の対馬宗家文書マイクロフィルム(朝鮮信使関係)を閲覧し、対馬藩政史料のうち朝鮮通信使に関わる『正徳信使記録』『宝暦信使記録』など計20冊ほどを撮影した(2023年8月22日~25日)。②大韓民国国史編纂委員会にて対馬宗家文書の調査を行った(9月9日~14日)。『韓使贈答集』など通信使との筆談・唱和記録、『思文館御書物控帳』など対馬藩校の記録などの諸史料を撮影した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り単著を公刊することができた。また前年に立てた見通しにしたがい、1764年度通信使迎接をめぐる江戸幕府儒者の対応を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は1764年度通信使への対応を中心に検討してきた。今後は1811年度通信使迎接の対応を行った幕府学問所儒者の記録の分析を重点的に行い、幕末まで展望したい。また対馬・東京での史料調査をやり残している状況にあるので、これらの史料調査も合わせて行いたい。一方、これまでの研究を通して近世後期の日朝関係における新井白石の聘礼改革(1711)の影響の大きさがうかがえ、これを敷衍すると「異学の禁」と白石との関係についても掘り下げる余地があるように思われた。この点も視野に入れて研究を継続したい。
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