研究課題/領域番号 |
22K13212
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
菊池 達也 宇部工業高等専門学校, 一般科, 講師 (60845709)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日本古代史 / 隼人 / 律令国家 / 周縁 / 官人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、律令国家が日本列島の周縁領域(特に南九州と東北)に対し、いかにして支配を拡大したのかを検証するものである。具体的には、官人として登用された周縁領域の豪族層を取り上げ、彼らのうちどのような人物が任命されたのか、いかなる過程でどういった官職に任じられたのか、官人としての活動の実態はいかなるものであったかを分析する。そして明らかになった事実から、周縁領域の人々が支配を受け入れていったプロセスを考察することで、日本古代周縁史研究に見られる中央偏重な歴史認識の克服を目指す。
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研究実績の概要 |
律令国家が日本列島周縁領域の支配をいかに拡大したかという点について、従来は、軍事面の解明に重点を置いてきた。また、周縁領域の住民をひとまとまりの集団と見なし、律令政府vs各異民族という単純な対立構造で捉えがちであった。その結果周縁領域の住民を、武力によって律令制支配に服した“敗者”として扱ってしまっている。こうした日本古代周縁史研究に見られる中央偏重な歴史認識の克服を目指し、本研究は、律令国家が周縁領域の豪族層の協力・理解を得るために採用していた非軍事的アプローチの一端を解明するため、官人として登用された周縁領域の豪族層を取り上げる。そして、彼らのうちどのような人物が任命されたか、いかなる過程でどういった官職に任じられたか、官人としての活動の実態はいかなるものであったかを明らかにする。本年度は、以下の2つの検証を実施した。 1)古代南九州にルーツを持つ中央官人の検証 大隅乙万呂の基礎的考察を行い、その結果と、すでに検証を終えていた、大隅忌寸公足、大隅忌寸三行、大隅直坂麻呂、薩麻君国益の成果を総合して、古代南九州にルーツを持つ中央官人を分析し、どの程度の数の人たちがどういった官職に任じられたか、誰がいかなる過程で中央官人になったかを明らかにした。その上で南九州の人々が律令国家の支配を容認した要因を考察した。 2)古代南九州の郡司の検証 郡司に関連する諸制度の整理と南九州の各郡司の分析を行い、人物的特徴、郡司就任までの過程、採用時期、勲位・位階の獲得・昇進理由を個別具体的に明らかにした。次に、この結果と諸国の事例を見比べ、南九州の郡司の特異性を指摘した。そしてこの特異性こそが、政府が南九州で実施した武力によらない働きかけの1つで、南九州の郡司の優遇措置であると同時に、郡司(郡領)に任じた政府に協力的な有力者層を保護・育成する効果があり、彼らが再生産された結果、支配が進展したと主張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和4年度は古代南九州にルーツを持つ中央官人の検証のまとめと、古代南九州の郡司の検証を行う計画であった。前者については、「古代南九州にルーツを持つ中央官人(上)(下)」(『宇部工業高等専門学校研究報告』第 69 号、2023年)で、予定通り発表することができた。後者については、検証を行って論文として投稿までできれば良いと考えていたが、「律令国家の南九州支配と郡司」(『古代文化』第75巻第1号、2023年発行予定)の掲載が決まった。そのため、当初の計画よりも進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、当初の計画通り、郡司の前身にあたる評司の検証を行う。「衣評督衣君県・助督衣君弖自美」(文武紀)の記述から南九州でも大宝令制定以前に評司が任じられていたことがわかる。しかし彼らについてはこれまで検証が進んでいない。そこでいかなる過程でどのような人物が評司に任じられたのか、『日本書紀』に見られる評設置記事を参照しながら解明する。
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