研究課題/領域番号 |
22K13215
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
|
研究機関 | 公益財団法人三井文庫 |
研究代表者 |
吉田 ますみ 公益財団法人三井文庫, 社会経済史研究室, 研究員 (50844156)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 在外財産 / 戦後処理 / 賠償問題 / GHQ / 大蔵省 / 日本銀行 / 戦後 / 賠償 / 企業財産 / 帝国 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業財産に関する未整理史料の整理・分析を行うことにより、敗戦時における連合国による日本企業の在外財産接収問題の実態に接近する。 戦後、対日占領政策の転換を可能としたのは賠償の緩和決定であり、それを支えたのは大半が企業所有であった日本の在外財産の全接収であった。しかし、接収の実態は同時代においても研究史上においても詳細不明のまま取り残されている。本研究は未整理史料の検討からこの点を明らかにすることで、日本の賠償・補償問題および対日占領政策転換の背景をより豊かに描くとともに、帝国が解体する瞬間に国家・企業関係に働く力学についてもひとつの見方を提起することを目指す。
|
研究実績の概要 |
初年度である2022年度は、以下の成果を挙げた。 (1)史料整理 敗戦時、敗戦後の日本国外、元占領地に存在した企業財産に関する未整理史料の整理を進め(アルバイト雇用)、約1700点分の詳細な目録を完成させた。この過程で、1945年8月から1946年に至るまでの中国大陸残留者の日記を発見し、2023年度に翻刻、発表することとした。 (2)在外財産調査をめぐるGHQ、日本政府に関する研究 2023年度以降に未整理史料を利用した個別企業財産の研究を行う準備作業として、外務省史料、日本銀行史料、GHQ/SCAP文書をもとに、連合国、特にアメリカの対日占領政策、賠償政策における在外財産の位置づけの変遷と、大蔵省による在外財産調査事業の実態、GHQ、日本政府による在外財産集計における審議内容を明らかにした研究を発表した。 敗戦時の企業財産をめぐる大局的な状況、議論を把握したことで、2年目以降に企業史料を分析する際に必要な背景智識を補完することができたと考える。また、土地勘のなかった戦後史料(外務省、大蔵省、GHQ/SCAP文書など)の探し方、利用方法についても最低限を身につけたことで、計画時に予定していたよりもより広範な史料収集の可能性を確認することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度に未整理史料の整理(目録の完成)をほとんど終えることができた。 また、個別史料の読解、分析に入る前に必要としていた、敗戦後の企業財産をめぐる大局的な政治状況についても論文を執筆し、把握することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる2023年度には、整理が完了した企業史料の分析を開始する。急ぎ翻刻、公開すべきと判断した個人日記の翻刻、雑誌掲載を行いつつ、主に接収過程と在外財産の処理に関わる史料群を中心に読解を進める。 同時に、1年目には目を通す余裕のなかった敗戦国ドイツ、イタリアでの賠償問題、財産処理に関する研究のサーベイを行い、1年目よりもより大きな文脈に本研究を位置づけることを試みる。
|