研究課題/領域番号 |
22K13216
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 公益社団法人部落問題研究所 |
研究代表者 |
本井 優太郎 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (60898013)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 戦時期 / 大都市近郊地域 / 軍需産業 / 地域形成 / 地域住民 / 生活 / 戦後との連関 / 軍需産業都市化 / 産業構造 / 戦時体制 / 農漁村経済 / 現代化 / 住民運動 / 都市政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究は、一方で大都市神戸の規定を受けつつ、他方で周辺農村部には都市として対峙する兵庫県明石市を分析対象として、戦時から高度成長期の大都市近郊地域における、地域の生活に関わる諸課題=「生活課題」の内実を解明する。そして、そのような「生活課題」が生起する社会的背景、「生活課題」に対する市当局の認識と対応、住民の要求と運動の実態、それらの関係構造を明らかにする。これらを通じて当該期の大都市近郊の地方都市の構造とその歴史的変容過程を解明する。 以上の作業により、大都市近郊地域の歴史的研究を発展させるとともに、近現代の地域の歴史的様態の総体的・構造的把握を可能とする方法的視座を提示する。
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研究実績の概要 |
(1)戦時期明石地域における軍需産業の進出経過とその特徴について分析した。その結果、①旧明石市では市内資本の軍需転換と隣接村への軍需工場の新設が、隣接・西郊町村では明石市の資本に加えて神戸市に拠点を持つ資本の大規模軍需工場が立地がみられたこと、②軍需工場・関連施設の建設に際して、土地所有者を中心とする地元住民は自己の生活(用水・土地・金銭)への影響を受容/抵抗の判断基準としていたこと、③旧明石市以西に軍需工場・関連施設の立地があいついだことにより、同市では西へと市域を拡張しようとする機運が形成され、それが戦後の市域拡張の前提となったことを明らかにした。以上①~③をまとめ、第61回部落問題研究者全国集会歴史Ⅱ分科会にて報告した。 (2)(1)に係る戦時期を中心に史料の収集・分析を進めた。具体的には、①明石地域中西部の旧大久保町・魚住村・二見町の公文書の分析・精読を実施した。その結果、川西機械製作所・神戸製鋼所などの上記町村への進出前後の動向と、行政・住民・警察の対応を示す文書が多数発見された。②また既刊の資料集として、戦時・戦後の地方行財政に関するもの(『戦後地方行財政資料』など)、近現代の女性の運動に関するもの(『現代日本女性の主体形成』全9巻など)を収集した。 (3)研究課題に関わる文献の収集を進めた。具体的には、①近現代の戦争・軍隊と地域に関する文献(『岩波講座アジア・太平洋戦争』全8巻、『戦争の経験を問う』全11巻)、②戦後日本社会に関する文献(『戦後日本 占領と戦後改革』全4巻、『シリーズ戦後日本社会の歴史』全4巻)である。 (4)戦時期から高度成長期における明石地域の歴史的変容の全体像およびその特徴の分析に着手した。これに関しては兵庫県近現代史研究会にて構想を報告し、兵庫県全体の人口移動との関連性に注目し分析を進める方針を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦時から戦後初期の明石地域の歴史的変容の具体相について、軍需産業の進出という視座からまとめることができたことに加えて、高度成長期までを見通した長期的なスパンに基づく分析にも着手した。また、関係史料・文献の収集もおおむね順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
(1)占領・復興期の明石地域の形成過程について、軍需工場・関連施設の跡地利用の点から明らかにする。 (2)戦時期~高度成長期における明石地域の歴史的変容の全体像およびその特徴をまとめ、第74回地方史研究協議会大会(2024年10月20日・於甲南大学岡本キャンパス)にて発表する。 (3)戦後明石地域に関する史料の収集・分析を進める。 (4)戦後都市史・地域史に関する文献の収集を進める。
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