研究課題/領域番号 |
22K13218
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 雄城 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (20909410)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 儒教 / 国教化 / 符瑞 / 讖緯 / 緯書 / 天人関係 / 儀礼 / 漢 / 国教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国古代の漢王朝で整備された儀礼制度や経典解釈がどのような儒教を作り上げ、この儒教が皇帝をどのような存在として規定し、また皇帝と天地万民をどのように関係づけたのか、という問いの下、漢代の儒教は先秦期以来の帝王支配に関する様々な思想・観念をその道徳的・政治的理念で整理し、儒教の思想・理念を投影させた天の下に皇帝を天子として規定し、天を借りて儒教を身につけた万民百官が皇帝を儒教の理想に方向づけるものとなり、漢代以降も参照されるべき古典として継承されたという見通しを、緯書と符瑞思想の観点から4つのテーマで検証し、漢代における儒教の展開を漢代以後の歴史との関係を踏まえて実証的に位置づける。
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研究実績の概要 |
本研究は、漢代の儒教は、先秦期以来の帝王支配に関する様々な思想・観念をその道徳的・政治的理念で整理し、その過程で自らも「神秘性」「呪術姓」を内包する形に変容し、漢代以降も参照されるべき古典として継承された、という見通しを4つのテーマから検証するものである。2023年度はこのうち、3つのテーマについて進展が見られた。 テーマ1「緯書登場以前の皇帝と天地との関係」では、董仲舒の符瑞思想に着目し、その特徴を先秦期諸思想との比較から儒教の道徳を君主に求めるものだと把握した後、政界には魯・東海の弟子を通じて影響を与えたことを明らかにした。科学研究費基盤研究の研究成果報告書に寄稿し、刊行された。 テーマ2「緯書の出現」では、前漢武帝期の「儒学の官学化」は「経学の官学化」とも呼ぶべきもので、武帝期の学術政策が「儒学の官学化」につながるためには経学が孔子の思想(とされたもの)に即したものになる必要があったこと、その一環としての孔子の顕彰運動の延長に緯書の成立があったことを指摘した。これをまとめた原稿を学術雑誌(査読付き)に投稿し、採用・刊行された。 また同じくテーマ2で、両漢交替期の礼楽制度と緯書の出現に関する考察を行い、前漢末期・莽新期には血統を重視する王権観念が礼制装置によって表象されていたが、後漢では同じ礼制装置が天文や四時との関連から王権観念を表徴するように変化しており、後者では緯書の学説にも基づいていたことを指摘した。これをまとめた原稿を学術雑誌(査読付き)に投稿しており、現在査読を受けている。 2023年度の研究費は主として上記諸研究を遂行する上で必要となる文献の購入に当てられた。 2024年度はテーマ2「緯書の出現」で2022年度に投稿して再投稿を促された緯書の形成に関する論文を完成させることを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄にも記したように、2023年度は論文として刊行された論考が2本、投稿中の論考が1本と、研究に進展が見られた。反面、昨年度に再投稿を促されたテーマ2「緯書の出現」の論文を再投稿するに至らなかった。2024年度はこの論文の再投稿に注力したい。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況欄にも記したように、2024年度はテーマ2「緯書の出現」の研究を進展させることを目指す。既に「河図」「洛書」の語が見られるようになる前漢末期から緯書の作成が始まったことを突き止めているため、今後は予言的内容と儒教・経学との関係の形成について、先行研究の批判を通じて明らかにしたい。
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