研究課題/領域番号 |
22K13225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
植田 暁 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター グローバル研究グループ, 研究員 (30848859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 中央アジア / 匪賊 / 反乱 / ロシア帝国 / 植民地統治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、ロシア帝国統治期中央アジアの匪賊の活動を郷レベルの権力との関係に注目して検討し、植民地統治の特徴と限界を明らかにすることである。小規模な匪賊の活動に注目し、大規模反乱のなかった期間を含めて通時的な分析を実施する。対象地域としてロシア帝国領中央アジア全体を視野に納め、対象時期は植民地化の確立した19世紀後半からバスマチ運動の沈静化した1920年代までとする。併せて、バスマチ運動などを含めた匪賊が歴史表象としてどのように変遷してきたかを文学等における表象を含めて調査する。
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研究実績の概要 |
トルキスタン集成所収の関連資料の整理および分析を進めるととに、本年は主として本研究課題の方法論に関わる研究成果の発信を実施した。 中央アジア現地においても、関連資料の収集等を実施することができた。ウズベキスタンの首都タシケントでの学術交流に加えて、同国地方都市のジザフ市を訪問した際には貴重な情報収集を実施することができた。ジザフ市は1916年反乱において大規模な蜂起が発生した土地であり、現地資料館には1916年反乱およびその他の抵抗運動などに関わるローカルな史料が収蔵されていた。本研究課題は植民地期の反乱や抵抗運動が、現在に至るまでどのように受容されたのかを研究の柱のひとつとしている。そのため、反乱や抵抗運動が起きた土地において、それらの事件がどのように記憶され、表象されているのか確認することは、研究課題遂行において重要な意義を有する。今後の本格的な研究協力の基礎とすべく、現地研究者との意見交換を実施した。
研究成果の発信に関しては、英語圏のオンライン学術コミュニティーPeripheral Histories(ISSN 2755-368X)へ本研究課題に関わる論考を投稿し、査読を経て掲載された。本論考は、同コニュニティーのシリーズ企画「Diversity, ethnicity, and mobility in modern Central Asia」を構成する7つのポストの第一弾に位置付けられ、西欧および中央アジアの研究者の執筆した論考とともに同シリーズ企画に貢献した。また、中央アジアの人口とエスニシティに関する定量的な分析について、昨年度末に実施した報告の内容要旨が学会誌に掲載された。その他、本研究課題と深く関わる内容の事典項目執筆などを実施した。中央アジア現地における学術ネットワークとの連携にも努め、学術シンポジウムへのオンライン報告などを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トルキスタン集成の分析を中心とする基礎的史料分析作業を着実に実施した。併せて、オンラインでの国際的な学術ネットワークを通じて、成果発信の新たな形態を模索した。また、現地研究者、現地研究機関との交流および意見交換を実施できたことは、次年度以降の本格的な史料調査およびフィールド調査の基礎となることが期待できる。 一方、本研究課題は当初ロシア、モスクワおよびサンクトペテルブルクの公文書館に所蔵されている植民地トルキスタンに関する史料の活用を想定していたが、その実施は困難となっている。コロナ禍の終息と交代でロシア軍によるウクライナ侵攻が勃発し、1年余りを経ても収束の見通しすら見えない。当面、ロシア連邦における史料調査は困難であると判断し、海外史料調査およびフィールド調査の重点を中央アジア各国に置くことで、外部状況の変化に対応する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年進めた基礎的史料調査を基にして、本年度は国内学会での学術報告を予定する。 また、コロナパンデミックが一段落し、現地中央アジアでの調査の可能性が開けたことを踏まえて、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなどにおける資料調査を積極的に実施することに努める。 英語および現地言語での発信および研究交流にも引き続き積極的な関与に努める。
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