研究課題/領域番号 |
22K13229
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
仲田 公輔 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (10872814)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | アルメニア / ビザンツ / 聖遺物 / 聖十字架 / 東方キリスト教 / 聖人崇敬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、キリスト教を代表する文化の一つである聖遺物崇敬について、中期ビザンツ帝国(7-12世紀)による聖遺物の対外的利用が、コーカサス地域独自の聖遺物崇敬の形成にどのような影響を与えたかを明らかにすることを目指す。特に、従来ビザンツ側のトップダウンな影響が強調されてきたのに対し、コーカサス側の豊富な現地語史料を用いて、ボトムアップな要素を加味して相互交渉の実態を解き明かす点に新規性がある。
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研究実績の概要 |
本研究は、キリスト教を代表する文化の一つである聖遺物崇敬について、中期ビザンツ帝国(7-12世紀)による聖遺物の対外的利用が、コーカサス地域独自の聖遺物崇敬の形成にどのような影響を与えたかを明らかにすることを目指している。特に、従来ビザンツ側のトップダウンな影響が強調されてきたのに対し、コーカサス側の豊富な現地語史料を用いて、現地の人々が崇敬文化の形成にどのように関わったのかを明らかにし、相互交渉の実態を示すことを目指している。 今年度は写本奥付や碑文についての研究を進める予定だったが、歴史叙述から得られる情報が想定外に多かったため、引き続き考察を行った。以前より重視してきた、この問題を考察する鍵となる史料、『アルツルニ家の歴史』続編(第4巻、12世紀)の分析が中心である。ここからは、11世紀初頭にビザンツ領となったヴァスプラカン地域(ヴァン湖東部)においては、ビザンツの支配が崩壊し始める11世紀半ば~後半にあっても、現地のアルメニア人有力者に嫁いだビザンツの有力者の一族に出自を持つと思しき女性が、ビザンツ由来の様々な聖遺物である「アパランクの聖十字架」の庇護を行っていたことが明らかとなった。このときのヴァスプラカンを支配していた有力者は、従来この地域を支配してきたアルツルニ家の一族がビザンツの内地に引き上げ、またビザンツの当局も撤退していく中で、従来とは違う階層から台頭してきた一族だった。トルコ系勢力の進出が本格化する11世紀なかばの不透明な状況にあってもまだ、確たる背景を持たないアルメニアの現地有力者がが正統性や権威を強化しようとする際には、ビザンツとのつながりや、ビザンツ由来の聖遺物の名声を利用することは、一定の意味を持ち続けていたことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
育児休業を取得したため。
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今後の研究の推進方策 |
写本奥付や碑文を用いた研究に着手し、対象を広げていきたい。
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