研究課題/領域番号 |
22K13232
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
齋藤 敬之 南山大学, 外国語学部, 講師 (20822977)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 近世ドイツ / 犯罪史 / 感情史 / 暴力 / 決闘 / 学生 / 名誉 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、傷害などの身体的暴力のみならず中傷や挑発といった名誉にかかわる「言葉の暴力」も含めて暴力を理解する。そのうえで、主に17世紀後半から18世紀後半のドイツ・ザクセン選帝侯領を例に、まず法規範や知識人の著作を分析し、暴力の規制や処罰の特質を明らかにする。次いで暴力事件の当事者や第三者の言説や認識を裁判記録などから読み取り、暴力に関わる怒りや恥、恐怖といった感情的次元を検討する。 このように、犯罪史研究と感情史研究の双方のアプローチで暴力の形態や性質、名誉毀損との関連、そして暴力を内包する社会の時代的特徴を把握するとともに、両研究分野の接続を図ることで文化史研究の発展可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究は、17世紀後半から18世紀後半のドイツ・ザクセン選帝侯領を例に、中傷や挑発といった名誉にかかわる「言葉の暴力」、および傷害などの身体的暴力、とりわけ名誉と結びついた暴力の特殊形態としての決闘に対する規制や処罰の特質を明らかにすることを目的としている。加えて、暴力事件に関する言説や認識を裁判記録や知識人の著作などから読み取り、暴力に関わる怒りや恥、恐怖といった感情的次元をも検討することを試みたものである。 先行研究の整理と史料収集を初年度の課題としていたが、進捗に遅れが見られたため、本年度にも継続した。先行研究の整理に関する論考は本年度後半に投稿を済ませており、本報告書作成時点で、その審査結果を待っている状態である。 史料収集については、コロナウィルス感染の状況が好転したことにも鑑み、2023年8月末から9月初頭にかけて約2週間ドイツに滞在した。ライプツィヒ市立文書館では、殺人や決闘に関する裁判記録、決闘や治安維持一般に関わる法規範の未刊行史料を豊富に収集することができた。ドレスデン市立文書館は初めて利用するものであり、当初の想定に反して本研究課題に直結する史料が十分には所蔵されていなかったが、この点が判明したことも成果の一つと言える。 本研究における重要な課題である決闘の性質の検討に関しては、前年度より当時の知識人の著作の分析にも着手している。その第一歩として、法学者アハスヴェールス・フリッチュによる学生の決闘に対する提言を分析し、決闘に対する描写や批判の特徴を検討した。その論考は2023年6月に刊行された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も、所属先の業務との兼ね合いにより、当初の予定通りには研究は進捗しなかった。本研究課題の方向性を提示することを目的とした、近世ドイツの決闘に関する研究動向を整理した論考を本年度中に投稿できたことは、こうした状況下でも一つの成果である。 本研究課題はドイツの文書館に所蔵されている未刊行史料を主たる研究資料としている。ただ、渡航費の高騰などとも相俟ってドイツに渡航する回数や期間が限られたことで、以前より検討していたマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク文書館を訪問することができなかったため、新史料の発見までには至っていない。また、入手できた未刊行史料についても、その分析にはなお時間を要する状況である。それゆえ、現時点でまとまった成果を提示できる状況ではないと言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
研究環境や配分額に鑑みて、次年度に再度ドイツに渡航して文書館を訪問する見込みが立たない状況である。その分、本年度のドイツ渡航によって入手できた史料の分析に注力したい。
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