研究課題/領域番号 |
22K13238
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
夏木 大吾 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任助教 (60756485)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 北海道 / 更新世末 / 適応行動 / 年代 / 人類社会 / 遺跡形成過程 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、更新世末(19,000~11,700年前)を対象として、北海道における文化編年を構築し、気候変動および周辺地域の文化形成プロセスに対比し、人類社会の形成と行動的変化とその背景ついて明らかにする。そのために、新たな発掘調査や既存発掘データの検討を行い、遺跡における地形形成史と埋没過程、人類活動をめぐる遺跡形成過程の諸分析に基づいて、得られた年代の信頼性や出土石器群の時間的一括性を科学的に評価する。また、周辺地域においても既存資料の分析と新たな年代測定を行うことで、更新世末の北海道との同時代的な比較資料を整備し、より広域的な人類社会・行動の変動プロセスを議論していく。
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研究実績の概要 |
令和5年度の調査として、更新世末に位置付けられる北海道の旧石器時代遺跡の発掘調査および既存資料の再整理・分析を実施した。また研究成果の一部をまとめ、学会発表において成果を報告した。具体的な実施内容は以下の通りである。 1)北海道における更新世末石器群の年代を解明するために、北見市吉井沢遺跡の発掘調査を実施した。旧石器時代末の忍路子型細石刃核を含む石器集中部に加え、遺跡居住年代の解明のために重要な焼土や炭化物集中を検出し、次年度の本調査に向けた調査区を設定した。前年度に調査した緋牛内20遺跡の遺物整理作業、土壌粒度分析を行い、成果報告に向けた準備を進めた。 2)帯広市大正3遺跡の縄文草創期資料、泉町A遺跡の旧石器資料の整理・分析を行った。大正3遺跡の調査では、石器の使用痕分析と型式学的な分析を実施した。泉町A遺跡では、出土資料台帳のデジタル化を行いながら、出土した細石刃石器群の属性に関するデータを整理、再検討した。 3)7月に北海道遠軽町で開催された国際黒曜石学会に参加し、遠軽町タチカルシュナイM-I遺跡と北見市吉井沢遺跡の黒曜石産地分析と石材需給について発表し、更新世末の二つの文化集団の適応的な行動戦略の違いについて議論した。7月にイタリアのサピエンツァ大学で開催された国際第四紀学会INQUA ROMA 2024に参加した。北海道における更新世末の石器群と年代の関係を整理し、現時点で示し得る石器群の変遷案を提示し、旧石器時代終末期に位置付けられる北海道の有茎尖頭器の出現と存続期間について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、吉井沢遺跡の発掘によって、旧石器時代終末の細石刃石器群を発見した。遺物集中地点に重複する焼土と炭化物集中を検出されたため、次年度の本格的な調査にむけた準備を整えることができた。既存資料調査において大正3遺跡の使用痕分析では、北海道の縄文草創期文化を特徴づける石器タイプのいくつかに使用痕が検出され、更新世末人類の適応行動の解明に資するデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も北海道における更新世末の旧石器時代社会の変遷や行動的変化に関する議論を進めるため、野外発掘調査を中核とした研究を行い、関連する時期の資料調査や整理・分析を進める。野外調査としては北海道北見市吉井沢遺跡の発掘を行う予定である。吉井沢遺跡において遺物に関連する炉跡や炭化物集中を検出し、年代測定を行うことで更新世末の旧石器時代石器群の年代を明らかにしていく。また、帯広市泉町A遺跡、釧路市北斗遺跡の道内の既存資料の調査を引き続き行い、年代測定、空間分析、黒曜石分析等を行い、更新世末の石器群の内容および編年的な整理を進めていく。
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