研究課題/領域番号 |
22K13254
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 一橋大学 (2023) 静岡県立大学 (2022) |
研究代表者 |
小泉 佑介 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (50866712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 泥炭地保全 / スケール / 社会生態系 / 参加型マッピング / インドネシア / 環境ガバナンス / 泥炭地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、地理学および環境ガバナンスの「スケール」に関する議論を援用することにより、インドネシア・スマトラ島の泥炭地保全が抱える問題の構造的要因を明らかにする。特に本研究では、スマトラ島の泥炭地保全に関わるローカルな社会経済基盤、ナショナルな政策決定、グローバルな保全イニシアティブといった各スケールのダイナミクスが、いかに連動し、あるいは対立しながら展開しているのかを検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度の研究はまず,人口センサスや村落潜在力調査(PODES)等の統計データを用いた空間分析を中心に進めた。具体的には,上記統計に関する基礎情報を研究ノートとしてまとめ(刊行済み),村・町という小地域単位での人口動態分析を通じて,スマトラ島リアウ州における移動が必ずしも主要産業であるアブラヤシ農園開発だけに規定されている訳ではないことを明らかにした(論文執筆中)。 また,スマトラ島リアウ州で実施した調査では,これまでアブラヤシ栽培が急速に拡大していると思われていた泥炭地域において,現地の人々は複数の生計手段を組み合わせつつ,他の地域との差別化を図るためグアバ等の新たな作物を植える者や水田稲作に回帰する者など,多様な生業形態が混在していることが確認された。さらに,外来者の多いリアウ州南東部の沿岸地域(泥炭地域)では,アブラヤシ栽培よりもココヤシ栽培が依然として主流であり,この地域は文化的にココヤシとの結びつきが強いことに加えて,近隣の巨大なココヤシ加工工場がアブラヤシの「侵入」をとどめる防波堤として機能していることを見出した。以上のように,2023年度の調査では,泥炭地という社会空間が,従来の「アブラヤシ農園開発のフロンティア」というイメージだけでは捉えきれない,多様で動態的な変化を見せていることを明らかにした。 一方,2023年度は研究者の所属変更に伴い調査許可の取得に時間がかかったため,現地での調査は資料収集と簡単な聞き取り調査にとどまった。2024年度は早い段階で調査許可を申請し,複数の村落にてインテンシブな聞き取り調査を実施することで,泥炭地における社会空間の意味についての考察を深めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,統計データを用いたマクロな人口動態の空間分析に関する論文執筆を進めており,さらに本研究テーマ(スマトラ島の泥炭地保全)を他地域の事例と比較することで,議論の方向性を「人間-環境関係」というより広い文脈に結び付けていくことも試みている。一方,インドネシア・リアウ州での現地調査を予定していたが,現地での調査許可の取得に時間がかかっているため,必ずしもインテンシブな調査は実施できていないことから,2023年度の進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はカウンターパート(インドネシア大学)との共同研究体制を確立できたため,6月頃に調査許可を取得し,8月~9月には長期間での現地調査を実施する予定である。その結果を2023年度までの研究成果に接続させるかたちで,マクロ・ミクロを往還する視点から論文の執筆に取り組んでいく。
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