研究課題/領域番号 |
22K13264
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近藤 祉秋 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (80779273)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 混合経済 / スポーツ狩猟 / 内陸アラスカ / 混交経済 / 生業 / 狩猟観光 / 先住民文化の次世代継承 / 北方アサバスカン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、内陸アラスカ先住民が主体となった家族経営の狩猟ガイド業を対象とした文化人類学的研究である。先住民による狩猟ガイド業は、スポーツ狩猟者からのガイド料を得ながら伝統的な猟場での狩猟活動を続ける点で「現金経済への適応」と「先住民文化の次世代継承」というこれまで別々の領域として扱われてきた問題を架橋するテーマである。だが、先行研究では、スポーツ狩猟は先住民の生存狩猟と必然的に対立するという前提があり、これまで本格的な検討がなされてこなかった。本研究では、先住民による狩猟ガイド業がいかに成立したか、および狩猟ガイド業が現在どのように行われているかをフィールドワークにより明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度に関しては、8月および2月に現地調査を実施した。8月の現地調査では、狩猟ガイド業をおこなう内陸アラスカ先住民およびヨーロッパ系アメリカ人からなる家族とともに狩猟キャンプでの活動(獲物などの偵察、薪の採集、トレイル、キャンプ地の整備)に関する参与観察を実施した。同時並行で、狩猟ガイド業について長年の経験がある現地在住のA氏にインタビュー調査をおこない、どのような経緯で狩猟ガイド業がおこなわれるようになったかなどの経緯、およびこれまでの顧客やスポーツ狩猟の記憶、今後の見通しについて聞き取った。2月の現地調査では、A家が在住するニコライ村に滞在し、村民に狩猟ガイド業に関する見解、これまでの関わりの有無、狩猟キャンプがあるアラスカ山脈におけるアラスカ先住民の活動の歴史について聞き取った。これらの現地調査により、現在スポーツ狩猟者が滞在して狩猟ガイドとともに狩猟をおこなうキャンプがあるシルバーチップ地域は、内陸アラスカ先住民ディチナニクの伝統的生活圏にあたり、20世紀前半頃までニコライ村の一部の家族にとって生活の拠点となる場所であったことがわかった。その後、1960年代にA氏の義理の親にあたるB氏(故人)が伝統的生活圏を使用し続けながら、現金収入を得る手段として狩猟ガイド業を始めている。2022年度は、アラスカ山脈での狩猟ガイド業がどのような経緯で始まり、現在どのように実施されているかという点を探ることを目的としていたが、その点について十分に情報を集めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査を2回おこない、初年度に調査する予定であった、狩猟ガイド業が始まった経緯と現在狩猟ガイド業がおこなわれている状況について十分に情報を集めることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は、スポーツ狩猟がおこなわれている現場で参与観察をおこない、狩猟ガイドと顧客のやり取り、スポーツ狩猟の実践について調査をおこなう。具体的には2023年9月頃に改めてアラスカ山脈の狩猟キャンプに滞在し、3週間程度のフィールドワークを実施する。なお、狩猟ガイドへの聞き取りも継続しておこない、聞き取りの対象をA氏以外にもA氏の義理の弟や息子にも広げ、狩猟ガイド業の現状についてより詳細な情報を収集する。
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