研究課題/領域番号 |
22K13265
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
古川 勇気 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (90844168)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アンデス / 鉱山開発 / 環境問題 / 農民 / 民話 / コスモロジー / 景観 / 自然景観 / 開発 / 環境 |
研究開始時の研究の概要 |
アンデス農村における鉱山開発や環境開発を検討すると、自然や住民同士の情動的作用の観点から双方をミクロに調整し合う方途を探ることが課題である。本研究の目的は、ペルー、カハマルカ県山村の自然観や贈与交換などの実地調査から、住民の開発に対する「反発」「融通」の濃淡を明示した「感情マッピング」を作成することで、開発の問題系における当事者たちの実践、関係、情動的作用が組み直され、調整されていく過程を解明することである。本研究は「感情マッピング」という手法から、反発は反発として理解しつつも現地の条件に合致すれば社会的文脈に即して調整しうる可能性を民族誌的資料によって提示する。
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研究実績の概要 |
アンデス農村では、環境破壊にともなう鉱山開発や水不足を鑑みた環境開発に対して住民からの大規模な反発が起こっている。そこで本研究の目的は、ペルー北部カハマルカ県山村の自然観や贈与交換などを事例に哲学的な情動概念を実地的に応用し、鉱山・環境開発に対して住民の「この場所では反発する」「あの場所はこのようなルールに従えば、融通をきかせる」という景観的、伝承的、情動的な説明による「感情マッピング」を作成することで、開発の問題系における当事者たちの実践、関係、情動が組み直され、ミクロに調整されていく過程を解明することである。 上記の目的にそって、2023年度は現地での実地調査を行った。2023年8~9月にフィールド調査を行い、2022年度の調査に引き続いて「Mala Hora」に関する行動を実践を調査した。現地では、特定の自然景観には「よくない時間帯(Mala Hora)」という行動認識があり、夕方の5時から明け方の4時にかけて物理的なアクシデントへの対処に加え、精神的存在への対処が必要となると同時に、そうしたものに関する噂話を聞くようにもなる。そうした時間帯における経験談や民話を収集することで、現地の自然観をより深く理解することを試みた。また、鉱山による水質汚染の影響を受けるリャウカノ川周辺の住民に聞き込み調査を行うことで、鉱山によって変わってしまった川とどのように付き合いながら生活しているのかにつても調査を行った。 本研究では、こうした行動実践と変わりゆく現実への対応を調査することで、現地の自然観やコスモロジーを整理し、現状の自然と住民はどのように付き合っているのかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は海外渡航が一般化し、2023年8~9月に海外でのフィールド調査を実施することができた。現地では、アンデス山村の民話やMala Horaに関する語りや体験談を聞き取り調査することができ、そのデータの文字起こしも順調に進んでいる。本研究の中盤としては、まずまずの成果である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の調査を経て確信したことが、現地の自然観やコスモロジーを理解するためには、Mala Horaに関する体験談や語りを集めることが有効であるということである。そのため、2024年度の調査も継続してMala Horaに関する語りを収集する。同時に、水質汚染で変わってしまったリャウカノ川周辺の住民に対する聞き取り調査も継続する。 収集したデータを早めに整理・分析し、広く発表・公開することに努める。
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